
悄然のスノー・クリスタル
作者:片摩 廣
登場人物
藤宮 紗羅(ふじみや さら)・・・明るく気丈な女性。26歳
小さなギャラリーを運営しているイラストレーター。
心臓に先天的な疾患を抱えており、無理をすると死の危険もあるが、
普段はそれなりに生活が出来てる。
神谷 奏太(かみや そうた)・・・紗羅の恋人。誠実な会社員。27歳
高校生の頃、紗羅の病気を知ってからは、支え続けているが、
彼女の、ある願いだけは叶えてあげられないでいる。
桐生 悠真(きりゅう ゆうま)・・・紗羅の幼なじみ。26歳
海外で活動する、オネエの写真家。 奏太とは親友でもある。
比率:【2:1】
上演時間:【60分】
オンリーONEシナリオ2526
12月、クリスマス、テーマにしたシナリオ
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CAST
藤宮 紗羅:
神谷 奏太:
桐生 悠真:
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(ギャラリー内、夜。窓の外には雪が舞う)
(紗羅が作品を整理していると、奏太がそっと入ってくる)
神谷:「紗羅、今日は・・・、雪が凄いな。外、大丈夫・・・?」
藤宮:「うん、大丈夫。雪・・・、綺麗だね・・・」
神谷:「本当に大丈夫? 無理してないか?」
藤宮:「奏太・・・、心配しなくても大丈夫。今日くらいは、普通に楽しみたいの・・・」
(ギャラリーのドアがノックされる)
桐生:「な~に~、こんなところで二人きり?
ま、まさか、私の大事な紗羅を独り占めしてるんじゃないでしょうね〜?」
藤宮:「悠真・・・、帰ってきたの?」
桐生:「あら、私・・・、お邪魔だったかしら・・・」
神谷:「悠真・・・、久しぶりだな・・・」
桐生:「フフ、あらあら・・・、なんだか凄い空気ね。
・・・紗羅は、どっちのものかしら〜?」
藤宮:「悠真・・・、もう! そんなふうに言わないで・・・」
神谷:「悠真、流石に今のは冗談だよな・・・?」
桐生:「冗談じゃないわよ・・・。
奏太・・・、紗羅は昔も今も、あたしにとって特別な子なんだから。
それを忘れちゃ困るわね」
藤宮:「今日は・・・、ただ普通に、クリスマスイヴを過ごしたいだけなのに・・・」
神谷:(M)「紗羅・・・、どうしてこんなにも儚いんだ・・・。
無理をしてまで笑うなよ・・・。
俺は、ただ・・・、お前の側に、居たいだけなのに・・・」
桐生:「ねぇ、久しぶりに三人、揃ったんだから、ぱぁ~と、パーティーして盛り上がりましょう!!
私の帰国祝いも兼ねて!!」
藤宮:「うん・・・! 向こうでの話、沢山、聞かせてね・・・」
桐生:「勿論よ~。二人共、今夜は、寝かさないんだから~」
神谷:「お手柔らかにな・・・」
藤宮:「そうと決まれば、買い出しに言ったりだね。・・・えっと・・・、まずは・・・、ゴホッゴホッ・・・」
神谷:「紗羅、大丈夫か・・・!?」
藤宮:「大丈夫・・・、いつもの発作だから・・・。暫くしたら、良くなるよ・・・。あれ・・・、可笑しいな・・・」
神谷:「おいっ、紗羅! 返事しろ!」
桐生:「奏太! もう! しっかりしなさい!」
神谷:「悠真・・・」
桐生:「良いから、ギャラリーの仮眠室に、紗羅を運ぶわよ。手伝って」
神谷:「・・・あぁ、分かった」
間
桐生:「紗羅・・・」
神谷:「悠真・・・俺、どうしよう・・・。このままじゃ・・・」
桐生:「大丈夫よ・・・。落ち着いて。・・・ほら、慎重に・・・、そのままベッドに寝かせるわよ」
神谷:「おう・・・」
桐生:「よし・・・、これで一先ず、様子を見ましょう・・・」
神谷:「・・・悠真、俺・・・、紗羅を守りたいんだ。
でも、俺が出来ることって・・・、少ないかもしれない・・・」
桐生:「弱気にならないで。・・・あんたは、あんたなりに頑張ってるじゃない・・・。
それを、紗羅も、ちゃんと見てるわよ」
神谷:「悠真・・・、海外での活動は、どうだった?」
桐生:「そうね・・・。写真を撮るだけじゃなくて、街の人々の生活とか、文化とか・・・、色々勉強になったわ。
でも、やっぱり日本の方が落ち着くかもね~。
海外の食事も、見た目、鮮やかだったり、豪華だったけど~、
ふとした瞬間に・・・、日本の食事が、恋しくなったのよね~」
桐生:「白いご飯と、漬物と、お味噌汁」
神谷:「白いご飯と、漬物と、お味噌汁」(同時に)
桐生:「まぁ~、うふふふ・・・。・・・私の口癖、覚えてたのね~」
神谷:「当たり前だろう~。どんだけ長い付き合いだと思ってんだよ」
桐生:「あんたとの腐れ縁も、気付けば11年か~・・・」
神谷:「何だよ、酷い言い方だな~・・・」
桐生:「仕方ないでしょう~。オネエは、口が悪い生き物なのよ~」
神谷:「なら仕方ないか。はっはははは」
桐生:「ねぇ、覚えてる? 私達、3人の出会ったときの事」
神谷:「覚えてるよ・・・。あれは、今日みたいに、雪の降るクリスマスだった・・・」
間
(16歳、高校1年生の頃)
(学校の帰り道)
藤宮:「あ~あ、世間は、クリスマスムードで華やかなのに、私達は、いつもと変わらないね~!」
桐生:「当然よ~。部活に慣れるのに、必死なんですもの~。恋をする暇なんて無いわよ・・・」
藤宮:「それもそうね~。・・・それに私は、健康面も問題があるから・・・、夢のまた夢よね・・・」
桐生:「紗羅・・・」
神谷:「うわああああっ!!! ・・・。・・・痛たたた・・・」
間
藤宮:「ねぇ、あそこ見て。雪で滑った人が居る。・・・あの制服、私達と同じ学校の生徒だ・・・」
桐生:「あらら~、派手に転んだものね~。・・・紗羅、助けに行くわよ!」
藤宮:「うん・・・!」
間
神谷:「はぁ~・・・、今日は朝から、付いてない・・・。あ~もう!! 俺が一体、何をしたって言うんだよ~!!」
藤宮:「あの~、大丈夫ですか~?」
神谷:「・・・大丈夫に見えるか・・・?」
藤宮:「あ・・・、その・・・」
桐生:「ちょっと、その言い方は無いんじゃない?」
神谷:「誰だよ、お前・・・」
桐生:「私は、桐生 悠真。・・・この子の親友よ!」
神谷:「へぇ~・・・、そうか・・・、二人して、笑いに来たわけか?」
桐生:「まぁ! 何よ、その考え方!!!」
藤宮:「もう、落ち着いて・・・! 悠真・・・!」
神谷:「助けに来てくれて、ありがとう。じゃあ」
桐生:「何よ! その心の籠ってない御礼は!! ちょっと、あんた!! 待ちなさいよ~!!」
(過去の回想、終了)
間
(ギャラリーの仮眠室)
神谷:「俺達の初めての出会いは、こんな感じだったか~」
桐生:「ええ、そうね。今、思い出しても、人生で最悪の出会いだったわよ・・・」
神谷:「おいおい・・・。俺、そんなに最初の印象、最悪だったのか・・・?」
桐生:「そうよ! いきなり助けてくれた相手に、悪態付くんですもの・・・。
でも、思い出すのが、その時とは、あんたらしいわね・・・」
神谷:「え? お前の考えてた出会いのときと違うのか?」
桐生:「当然じゃない。私の言ってた出会いは、高校の部活の事よ・・・」
間
(高校、放課後、美術部前)
藤宮:「ねぇ~・・・、悠真~・・・」
桐生:「嫌ったら、嫌~」
藤宮:「そんな冷たい~。・・・私達の仲じゃな~い・・・!」
桐生:「あのね~、何処の世界に、部活初日に、
違う部員の私が、一緒に美術部に行かないと行けないのよ~。
私は、あんたの保護者じゃ無いって~の!」
藤宮:「ほらっ・・・、今日は部活のオリエンテーションだから・・・、
この際・・・、悠真も美術部に~」
桐生:「はぁ? 私は、写真部に入るんだから、絶対に嫌よ・・・!」
藤宮:「写真部なら、幽霊部員も出来るし・・・、この際、掛け持ちでも~」
桐生:「紗羅・・・、あんたね~・・・!!」
神谷:「おい、お前達・・・、人の部室の前で、何、言い争ってんだ・・・?」
桐生:「あんたには、関係ないでしょう! 放っておいて!! って、あああああああああああああ!!!」
神谷:「げっ・・・、お前は・・・、あの時の・・・」
桐生:「うふふふ・・・、此処であったら、なんちゃらよ~!! 覚悟しなさあああああああいいいい!!!」
間
(ギャラリーの仮眠室)
神谷:「おい・・・、これの何処が良い出会いの思い出だよ・・・」
桐生:「・・・そうね、思い出せば、思い出すほど、あんたをボコボコにしてた記憶が浮かんでくるのよね~」
神谷:「お前な~・・・。・・・。・・・まぁ、でも、優しいよな~。
結局、紗羅の為に、部活、掛け持ちしたんだから・・・」
桐生:「あんたが、美術部の部員だと知って、そのまま、私の可愛い紗羅を、一人で美術部に入れられるわけ、無いでしょう?」
神谷:「そうだな・・・。・・・あの頃のお前は・・・、いつも・・・」
間
(高校、美術部、部室)
藤宮:「う~ん・・・、上手くデッサン、出来ない・・・」
神谷:「どれどれ・・・。あ・・・、もう少し、全体を見て、空間も意識してみて」
藤宮:「はい・・・」
神谷:「・・・そうそう、良い調子。・・・う~ん。・・・あ、そこは・・・」
藤宮:「あ・・・、先輩・・・」
桐生:「はい、ストップ! ・・・神谷先輩~、紗羅に近付きすぎよ~!」
神谷:「なんだと!?」
桐生:「紗羅・・・、何処も触られてない?
良いこと? ・・・あんな感じに迫られたら、持ってる鉛筆を先輩の腕に素早く突き刺すの・・・」
神谷:「言ってる事が、怖いから!」
藤宮:「もう・・・! そんな怖いこと・・・、私・・・、出来ないよ~・・・」
神谷:「そうだ、そうだ。・・・藤宮さんは、そんな事はしない! お前と違ってな!」
桐生:「あ~ら? 今、何て言ったのかしら? 今すぐにでも、先輩の手に、鉛筆の剣山を作って差し上げましょうか~?」
神谷:「ほう~、やれるものなら、やってみろ~!」
藤宮:「もう!! 好い加減にして!!」
桐生:「紗羅・・・」
神谷:「藤宮さん・・・」
藤宮:「私は・・・、そんなに守って貰わなくても大丈夫だから・・・。
悠真・・・、先輩に酷い事しないで・・・」
桐生:「・・・ごめんなさい。・・・私、どうかしてた・・・。少し外で頭を冷やしてくるわね・・・」
藤宮:「待って・・・。私、そこまでして欲しいとは、望んでないよ・・・。悠真!! うっ・・・ゴホッゴホッ!!」
神谷:「え? 藤宮さん、どうしたんだ!?」
桐生:「紗羅・・・!! ・・・あんた、薬は・・・!?」
藤宮:「ゴホッゴホッ・・・!! ・・・鞄の中・・・」
桐生:「そう、待ってなさい! 持ってくる!」
藤宮:「ありがとう・・・。・・・悠真・・・」
間
神谷:「おい・・・、俺にも、何か出来る事は?」
桐生:「薬を飲ませるから、水を用意して」
神谷:「分かったよ」
藤宮:「ゴホッゴホッ・・・」
桐生:「紗羅・・・、薬よ・・・」
藤宮:「ありがとう・・・」
神谷:「ほらっ、水だ・・・」
藤宮:「先輩も、ありがとう・・・、ございます・・・。
・・・。・・・はぁ~・・・」 (薬を水で飲む)
桐生:「ふぅ~・・・、もう、安心ね・・・」
神谷:「おい、説明してくれないか?」
桐生:「そうね・・・。実は、この子・・・」
藤宮:「待って、悠真・・・。私から話す・・・」
桐生:「わかったわ・・・」
藤宮:「・・・私ね・・・、心臓に先天的な疾患を抱えているんだ・・・。
だから、医者に処方された、この薬を飲まないと・・・、あんな風に発作が出ると危険なの・・・」
神谷:「先天的な疾患・・・。あ・・・、その・・・」
藤宮:「別に気を使わなくて平気だよ。・・・皆、この話を聞いたら、同じ顔で私を見つめるから・・・、慣れてる・・・」
神谷:「ごめん・・・」
藤宮:「ただ一人・・・、私の、この病気を知っても、態度が変わらなかったのが・・・、此処に居る悠真だよ・・・」
桐生:「紗羅のこと・・・、知らない男達は・・・、あんたみたいに、距離を考えずに近付いて来たわ・・・。
そして、この事を知ると・・・、皆が途端に、まるで腫物にでも触れるかのように接し始めた・・・。
私は・・・、そんな男達が許せなかった・・・!
だから・・・、さっきみたいな態度を、あんたに取ってしまったの・・・。ごめんなさい・・・」
神谷:「そんな理由だったのなら、許すよ・・・。
それに心配しないで良い。・・・驚きはしたけど、彼女に、そんな風に接するつもりは無いよ」
桐生:「あんた・・・、優しい部分もあるんだ・・・」
神谷:「棘のある言い方だな・・・」
桐生:「これでも褒めてるのよ、失礼ね~」
藤宮:「先輩・・・、嬉しい・・・です・・・。・・・あの・・・」
神谷:「ん・・・? どうした?」
藤宮:「え? あ・・・、いや・・・、その・・・」(照れながら)
桐生:「ふ~ん、どうやら、お邪魔虫のようね・・・。
・・・少し写真部の様子でも見てくるわね~」
神谷:「待てよ、おいっ!!」
桐生:「二人共~、ごゆっくり~!」
間
(ギャラリーの仮眠室)
神谷:「あの後・・・、いきなり二人っきりにされて、大変だったんだからな~」
桐生:「あら、・・・でも、そのお陰で、あんたと、紗羅は、急接近出来たじゃ無いの~。
感謝して欲しいくらいよ~」
神谷:「お前な~。・・・でも、そうだな・・・。お前のおかげだよ。ありがとうな、悠真」
桐生:「もう、いきなり素直にならないでよ・・・!! こっちにも、心の準備があるんだから・・・」
神谷:「ん? 何のだ・・・?」
桐生:「この・・・、鈍感野郎・・・」
藤宮:「ん・・・、ん・・・、あれ? 私・・・」
桐生:「紗羅~・・・、良かった~・・・」
藤宮:「どうしたの? 悠真・・・?」
神谷:「紗羅・・・、いきなり倒れたから・・・、俺と悠真は、心配したんだ・・・」
藤宮:「そっか・・・。ごめんね・・・。・・・少しはしゃぎ過ぎちゃった・・・。
・・・高校の頃は、もっとはしゃいでも、平気だったのにな~・・・」
桐生:「今は、冬なんだから、無茶は駄目よ。・・・今日は、もう家に帰って休むこと。わかった?」
藤宮:「えへへ・・・。悠真に言われちゃったら、従うしかないな・・・」
桐生:「良い子ね。それと、奏太・・・」
神谷:「ん?」
桐生:「紗羅を、ちゃんと家まで送りなさいよ」
神谷:「言われなくても、そうする」
桐生:「そう、任せたわよ」
藤宮:「え? 悠真も、一緒に送ってくれないの・・・?」
桐生:「ごめんなさいね・・・。・・・急用を思い出したの。
だから・・・、クリスマスパーティーは、明日にしましょう!」
藤宮:「うん・・・、分かった・・・。約束だからね・・・」
桐生:「約束よ。・・・じゃあ私、行くわね」
神谷:「気を付けて、帰れよ」
桐生:「ええ、あんた達もね」
藤宮:「悠真・・・」
神谷:「・・・じゃあ、俺達も行くか・・・」
藤宮:「うん・・・」
間
(ギャラリーの外に出る奏太と紗羅)
神谷:「はぁ~・・・ (息を吐く)
・・・外・・・、だいぶ冷えてるな~・・・。
ギャラリーの戸締りは、出来たか・・・?」
藤宮:「うん・・・。大丈夫・・・。
はぁ~・・・ (息を吐く)
本当だ・・・。・・・息が白くなってる・・・。うっ・・・、ゴホッゴホッ・・・」
神谷:「ほら、また無茶をするから・・・。・・・もっとこっちに来い」
藤宮:「うん・・・」
神谷:「寒くないか・・・?」
藤宮:「平気・・・。・・・奏太の体温・・・、温かいね・・・」
神谷:「馬鹿・・・。いちいち、恥ずかしい事、言うなよ・・・」
藤宮:「えへへ・・・。・・・あっ、奏太、見て・・・。雪・・・」
神谷:「本当だ・・・。・・・綺麗だな・・・」
藤宮:「うん・・・」(照れながら)
間
桐生:「そうよ・・・、奏太・・・。・・・ちゃんと紗羅を送りなさい・・・。
今日は、クリスマスイヴ・・・、恋人達の特別な日よ。
そんな大事な日・・・。
あんた達の邪魔は・・・、出来ないわよ・・・」
間
神谷:「街中、イルミネーションで綺麗だな・・・」
藤宮:「うん、クリスマスで、皆、幸せな顔してるね・・・。
・・・ねぇ、奏太・・・」
神谷:「ん・・・?」
藤宮:「私・・・、来年も・・・、こうして、奏太と一緒に居られるかな・・・」
神谷:「何を馬鹿な事、言ってるんだ・・・。
当たり前だろう。・・・来年も、そのまた再来年も、ずっと一緒だ・・・」
藤宮:「私ね・・・、夢があるの・・・。
あのギャラリーが、沢山のお客様で埋め尽くされるのが・・・、見たいんだ・・・」
神谷:「素敵な夢だな。・・・俺も見てみたい。
その沢山のお客様を見て・・・、喜ぶ紗羅の笑顔を・・・」
藤宮:「奏太・・・。・・・うん、私も、その笑顔を見て、優しく微笑む奏太が見てみたい・・・」
神谷:「おい・・・、俺の夢を盗るなよ~」
藤宮:「良いでしょう? 大好きな人の夢なんだから・・・、共有しても・・・」
神谷:「紗羅・・・。今の笑顔はずるい・・・」(照れる)
藤宮:「え・・・?」
神谷:「なぁ、紗羅・・・。俺、頑張るから・・・。二人の夢が実現するために、全力で支える」
藤宮:「嬉しい・・・。私ね・・・、奏太を好きになって良かった・・・」
神谷:「え?」
藤宮:「だって・・・、こんなにも、幸せになれたから・・・。・・・大好きだよ、奏太・・・」
神谷:「俺も大好きだよ、紗羅・・・」 (頬にキスをする)
藤宮:「奏太・・・」
神谷:「あ・・・、ごめん・・・。電話だ・・・。ちょっと電話してくる・・・。少し待ってて」
藤宮:「うん・・・」
間
藤宮:(N)「少し待った後・・・、奏太は戻って来た・・・。
それから、家までの帰り道・・・。
私と奏太は・・・、街の中のイルミネーションや、雰囲気を歩きながら楽しんだ・・・。
家に着くまでの間・・・、ずっと奏太は、手を繋いでくれて、私は幸せな時間を過ごした・・・」
神谷:「・・・家に着いたな・・・」
藤宮:「うん・・・」
神谷:「・・・」
藤宮:「・・・。ねぇ・・・奏太、・・・少し家に寄ってく・・・?」
神谷:「そうしたい所だけど・・・、今日は止めとく・・・。
ほらっ・・・、無理をさせて、また発作が出たら大変だからな・・・」
藤宮:「そうだよね・・・。我儘言ってごめんね・・・」
神谷:「我儘な物か・・・。俺のほうこそ、ごめん・・・」
藤宮:「ううん・・・。じゃあ、部屋に入るね・・・」
神谷:「待って・・・!」
藤宮:「え?」
神谷:「・・・いや、その・・・。・・・やっぱり、紗羅が眠るまで、側に居ようかな・・・」
藤宮:「良いの・・・?」
神谷:「うん・・・」
藤宮:「嬉しい・・・。・・・じゃあ、中に入ろう・・・」
神谷:「そうだな」
間
(奏太は紗羅を抱きかかえるようにして部屋まで運んだ)
(ベッドの上に優しく横たえると、紗羅はようやく少しだけ呼吸が安定し、
まぶたを重く閉じている)
藤宮:「奏太・・・。ベッドまで運んでくれて・・・、ありがとう・・・。
ごめんね・・・」
神谷:「謝る必要なんてない。・・・俺のことは気にせず、寝て良いからな」
藤宮:「うん・・・。さっきね・・・、奏太とイルミネーションが見れて、嬉しかった~・・・」
神谷:「綺麗だったな~。・・・あっ、そうだ・・・。紗羅・・・、手を出して・・・」
藤宮:「うん・・・」
神谷:「はい・・・、クリスマスプレゼント・・・」
藤宮:「え? いつ、用意してたの・・・?」
神谷:「あ~・・・、実は・・・、さっき予約した店に取りに行ってた・・・」
藤宮:「それで少し遅かったんだ・・・」
神谷:「うん・・・。開けてみて・・・」
(袋を開ける紗羅)
藤宮:「・・・。
うわああああ・・・。・・・綺麗・・・。これって・・・」
神谷:「・・・雪の結晶のネックレス・・・。気に入った・・・?」
藤宮:「うん・・・。水色と銀色のコントラストが凄く綺麗・・・!」
神谷:「良かった~・・・。紗羅が喜んでくれたなら、頑張ったかいがあるよ」
藤宮:「え? 奏太の手作り・・・?」
神谷:「あ・・・、まぁ・・・、一応・・・。
店の店主に手伝って貰ったりもあったけど・・・、デザインは俺が考えた・・・。
ほらっ・・・、紗羅・・・、雪が好きだろ?」
藤宮:「覚えてくれてたんだ・・・」
神谷:「当たり前だろう・・・」
間
(高校 美術部、部室)
藤宮:「ううう・・・、寒くなって来たね~」
桐生:「そうね~。・・・ねぇ、紗羅。・・・部活が終わったら、何か食べに行く?」
藤宮:「うん、行く~。・・・あ、商店街の鯛焼きも捨てがたいな~。あ~でも~、たこ焼きも食べたい~」
桐生:「うふふふ・・・。欲張りね~。・・・まぁ、でも、私も食べたいから~、
この際、両方、食べに行きましょうか?」
藤宮:「悠真! 大好き~~~!」
桐生:「もう~! いきなり抱きつかないでよ~。・・・本当、可愛いわね~」
神谷:「ちーっす」
藤宮:「奏太・・・! ・・・ねぇ、奏太も一緒に行く?」
神谷:「何の話だ・・・?」
桐生:「部活が終わったら、商店街に行って、何か食べようかな~って話してたのよ」
神谷:「要するに買い食いだな・・・」
藤宮:「奏太も行こうよ~~~」
神谷:「どうしようかな~・・・」
桐生:「あら? 何、渋ってんのよ~。
もしかして、俺は、優等生とでも言うつもり~?」
神谷:「いや、そうは言わないけど・・・、画材、買ったりしたから、お金がな~・・・」
桐生:「何よ、それで悩んでたの~。あんた、可愛いところあるわね~」
神谷:「可愛いは余計だろ」
桐生:「うふふふふ・・・。仕方ないわね~。この私に、任せておきなさい!」
神谷:「ん?」
桐生:「二人の分まで、この私が出してあげる! どーんと、頼りなさ~い!!」
神谷:「良いのか?」
桐生:「良いのよ~。・・・その代わり、あんたには、熱々のたこ焼きを頬張って貰うから、そのつもりでね~」
神谷:「うわ、悪魔かよ~・・・」
藤宮:「ふふふふふ・・・」
間
(部活の終わった三人は、商店街に来てる)
藤宮:「わぁ、今日も行列できてるね~・・・」
桐生:「そりゃそうよ〜、此処のたこ焼き、外カリ、中トロの最強なんだから~。
ほら奏太~、ぼーっとしてないで早く並ぶわよ~!!」
神谷:「いや、悠真が一番はしゃいでるし」
間
桐生:「ふ~、何とか、人数分、買えたわね~」
神谷:「うおっ・・・熱っ、これ絶対やばいって・・・!」
藤宮:「奏太・・・、頑張って・・・!」
神谷:「よし・・・、いただきま~す・・・。
あっっっっつ!! あっっつつつ!!
はふっ! はふはふっ!!」
桐生:「あんたね~、男ならそのくらいガツッといきなさいよ!
何よ、このくらい。・・・ほら、あたしなんて・・・あちッ!!」
神谷:「お前も駄目じゃないか!!」
藤宮:「あっはははは・・・」
桐生:「うふふふふふ・・・」
神谷:「あっははははは」 (三人で笑い合う)
間
藤宮:「ほら、ふーっ、ふーっ・・・はい。
奏太、あーんして? もう熱くないよ~?」
神谷:「え? ・・・あ~ん・・・。・・・うまっ!!」
藤宮:「もう一個、食べる?」
神谷:「うん・・・!」
桐生:「あらあら、お熱いこと~」
神谷:「何だよ~、何か言いたいのか~?」
桐生:「別に~」
藤宮:「二人共ったら・・・。・・・あっ! ねぇ・・・、見て! 雪、降って来た~・・・!!」
神谷:「本当だ~」
桐生:「綺麗ね~」
藤宮:「私・・・、雪・・・、大好きなんだ~・・・」
神谷:「そうなんだ~。綺麗だよな~」
藤宮:「・・・奏太も、雪・・・、好き・・・?」
神谷:「あぁ・・・、好きだよ」
藤宮:「そっか・・・。嬉しい・・・」
桐生:「何だ~・・・、そういうこと~・・・。それなら・・・。(小声)
ねぇ、紗羅・・・。今度は向こうの鯛焼き、買いに行きましょう~」
藤宮:「良いね~。うん、行こう」
神谷:「じゃあ、俺も」
桐生:「あんたは、此処で待ってなさい」
神谷:「え? どうしてだよ~」
桐生:「良いから、大人しく此処の席、取って置いて」
神谷:「はぁ~・・・、仕方ない・・・」
桐生:「宜しくね~。じゃあ、紗羅、行きましょう~」
藤宮:「うん・・・」
間
桐生:「あら~・・・、鯛焼き屋も混んでるわね~」
藤宮:「ねぇ~、悠真・・・。どうして、奏太は留守番させたの・・・?」
桐生:「それはね~、紗羅の本心を聞きたくなったからよ~。
ねぇ・・・、正直に答えて・・・。
奏太のこと・・・、好き?」
藤宮:「うん・・・、好き・・・」
桐生:「そう・・・。それが本心なのね・・・。分かった・・・」
藤宮:「悠真・・・?」
桐生:「仕方ない・・・。二人の恋・・・、応援してあげる」
藤宮:「本当に・・・?」
桐生:「ええ。・・・私、この後、そっと用事が出来たと言って抜け出すから・・・、後は頑張りなさよ!」
藤宮:「うん、私、頑張るね・・・!!」
間
(紗羅のマンション)
神谷:「悠真は・・・、あの頃から、お節介焼きだったんだな・・・」 (小声)
藤宮:「そこが、悠真の良い所だもん・・・」(小声)
神谷:「え・・・?」
藤宮:「ううん・・・。何でもない。・・・奏太・・・、このネックレス・・・、大事にするね・・・」
神谷:「おう・・・」
藤宮:「ゴホッゴホッ・・・」
神谷:「ほらっ・・・、今夜は冷えるんだから、これ以上、無理するな・・・」
藤宮:「うん・・・。・・・ねぇ、奏太・・・」
神谷:「何だ・・・?」
藤宮:「私ね・・・。・・・生まれ変わったら、雪になりたい・・・。
綺麗だね・・・と、誰かの心を温かくしてあげたいの・・・」
神谷:「雪か・・・。それじゃあ俺は、雪を照らす太陽になる・・・」
藤宮:「え?」
神谷:「太陽に生まれ変わったら、紗羅をそっと見守れるだろう・・・?」
藤宮:「奏太・・・。雪なんだから・・・、私・・・、溶けちゃうよ・・・」
神谷:「それは、不味いな・・・」
藤宮:「もう・・・、ふふふふ・・・」
神谷:「あっはははは・・・」
藤宮:「メリークリスマス・・・、奏太・・・」
神谷:「メリークリスマス・・・、紗羅・・・」(紗羅にキス)
間
藤宮:(N):「翌日、奏太と悠真の三人で、クリスマスパーティーと、悠真の帰国祝いをした。
私は・・・、奏太も、悠真も、どちらも大事・・・。
もし神様が居て・・・、私達を見守ってくれているなら・・・、
どうか・・・、私達3人の幸せを、これからも続けさせてください・・・。
私は・・・、そっと、そう・・・、願った・・・」
桐生:「・・・ねぇ、奏太・・・」
神谷:「ん?」
桐生:「あんた・・・、ちゃんとクリスマスプレゼント、渡したんでしょうね?」
神谷:「渡したよ」
桐生:「そう・・・、それなら良いけど・・・。・・・それで、あんたは、紗羅から何を貰ったのよ・・・?」
神谷:「内緒だ」
桐生:「どうしてよ~」
神谷:「どうしてもだ・・・」
間
(前日)
神谷:「気に入ってくれて、嬉しいよ」
藤宮:「・・・奏太、私もね・・・、クリスマスプレゼント、用意してたんだけど・・・」
神谷:「どうした?」
藤宮:「・・・今年は、完成、間に合わなかったんだ・・・。だから・・・、来年まで待っててくれる・・・?」
神谷:「それって・・・」
藤宮:「うん・・・。奏太の為に書いた手作りのプレゼント・・・」
神谷:「俺だけの紗羅のイラスト・・・。嬉しいよ・・・。
・・・分かった。・・・来年まで待ってる」
藤宮:「ありがとう、奏太・・・」
間
桐生:「ねぇ、良いから教えなさいよ~、ねぇ、ちょっと聞こえてる~? 奏太!」
神谷:「ん? 何か言ったか?」
桐生:「もう、一人で何を考えてたのよ~」
神谷:「昨日の紗羅とのやり取りを思い出してた・・・」
桐生:「まぁ、お熱いこと~・・・」
神谷:「来年が楽しみだ・・・」
間
藤宮:(N)「私の願いが神様に届いたのだろうか、
それからの一年は、持病の発作も、そこまで起こらずに、幸せな日々が続いた・・・」
神谷:「はぁ~・・・。(息を吐く)
・・・今年も、もう12月になったか~・・・」
桐生:「一年、あっと言う間よね~。ねぇ、こんなに寒いと、あの時、思い出さない・・・?」
藤宮:「校舎裏の告白騒動・・・?」
神谷:「うげ・・・。勘弁してくれよ・・・。あの頃は、苦労したんだからさ・・・」
間
(高校時代)
桐生:「はぁ~・・・。(息を吐く)
もう・・・、寒くて仕方ないわよ~。どうして・・・、あたしが、こんな寒い日に、こんな場所で、
あいつが告白されるところなんか、見なきゃいけないのよ~・・・」
藤宮:「しっ!!! 悠真・・・、静かにして・・・!!」
桐生:「心配なのは、分かるけど・・・、いつまでも此処に居たら、風邪を引いちゃうじゃないの~」
藤宮:「はいはい、文句はそこまで。・・・奏太、来たよ・・・」
桐生:「どれどれ~。・・・まぁ、何よ、紗羅が見てるとも知らずに・・・、
あの腑抜けた顔・・・」
藤宮:「え? 私には、緊張してる顏にしか見えないけど・・・。
あ・・・」
神谷:「痛っ!!!」
桐生:「今の見た? 相手の女に、思いっきり引っぱたかれてたわよ~」
藤宮:「痛そうだったね・・・。ふぅ~・・・、良かった~・・・」
桐生:「ふふふ・・・。これで、少しは心配も解消されたわよね・・・」
神谷:「こんな所で、何をしてるんだ・・・」
桐生:「ぎゃああああああああああ!!!! 出たああああああああ!!!!」
神谷:「化け物に遭遇したかのように驚くな!!!」
藤宮:「・・・あの、奏太・・・。・・・その・・・」
神谷:「さては・・・、さっきの一部始終、覗いてやがったな~?」
藤宮:「ごめんなさい・・・! ・・・でも、心配だったの・・・。
奏太が・・・、誰かと付き合うかもしれないって思ったら・・・、居ても立っても居られなくなっちゃって・・・」
神谷:「え!? ・・・それって・・・」
桐生:「あんたも鈍いわね~・・・。・・・紗羅はね、あんたの事・・・」
藤宮:「それ以上、言ったら駄目・・・!! 悠真・・・。・・・お願い、・・・ちゃんと自分の口から伝えたいの・・・」
桐生:「紗羅・・・。・・・そう・・・、分かった」
藤宮:「ありがとうね・・・、悠真・・・」
神谷:「・・・」
藤宮:「・・・奏太。・・・私は・・・、奏太の事が好き・・・。
・・・この気持ちは・・・、誰にも負けたくない・・・。
誰にも・・・、奏太を奪われたくない・・・。
こんな欲張りな私でも・・・、・・・付き合ってくれますか・・・?」
神谷:「あぁ、・・・勿論だ。
俺も・・・、そんな欲張りな紗羅が、好きだから・・・。
あんな見っともない所を見られても、平気なんだ・・・。
・・・だから、もう、何も心配しなくて良い。・・・安心しろ・・・」
藤宮:「うん・・・!!」
間
桐生:「あ~、もう~・・・。思い出しただけで、何だか熱くなってきちゃうわね~・・・。
私・・・、ちょっと、外に出てくる・・・」
神谷:「・・・」
藤宮:「・・・」
神谷:「今年のクリスマスは・・・、三人でお祝いしよう・・・」
藤宮:「うん・・・。悠真も、喜ぶよね・・・」
神谷:「あぁ、きっと喜ぶさ・・・。・・・紗羅」 (キスしようとする)
藤宮:「奏太・・・」
桐生:「ただいま~! もう・・・、何よ、その雰囲気は~?」
神谷:「何でもない・・・。それよりも、何処に行ってたんだ~」
桐生:「ふふふ・・・。これを買いに行ってたのよ~。じゃ~ん!!」
藤宮:「うわ~・・・。鯛焼きだ~・・・」
桐生:「冬といえば、やはり、これよね~」
神谷:「お、気が利くじゃないか~。どれどれ~・・・。熱ちちちちちちち・・・!!!」
桐生:「出来立てだから、熱いに決まってるじゃ無いの・・・」
神谷:「それを先に言えよな・・・。ふぅ~、ふぅ~・・・」
藤宮:「もう、奏太ったら・・・。ふふふふ・・・」
間
藤宮:(N)「皆で、こうして笑いながら、何かを食べるのは・・・、
本当に、幸せな時間でした・・・。
12月もあっと言う間に過ぎていき・・・、
再び・・・、クリスマスイヴがやって来ました・・・」
間
神谷:「紗羅・・・。少し働き過ぎじゃないか・・・?」
藤宮:「平気・・・。・・・ギャラリーに来るお客様も、この一年で少しずつ増えて来たんだから、
今が、頑張るときなの・・・。・・・あ、いらっしゃいませ~!
どうぞ・・・、御覧になって行ってください・・・」
神谷:「・・・」
桐生:「ふふふ・・・、そんな顔してたら、お客様が逃げちゃうわよ~」
神谷:「悠真・・・、お前は、紗羅が心配じゃないのか・・・?」
桐生:「・・・心配は心配よ・・・。でも、見て・・・。紗羅、あんなに生き生きしてる・・・。」
神谷:「楽しそうだな・・・」
桐生:「楽しいに決まってるじゃない。・・・自分の夢が、少しずつ実現してるんだから・・・。
所で、奏太・・・」
神谷:「何だよ・・・?」
桐生:「今日は、クリスマスイヴよ・・・。その左ポケットに隠してる指輪・・・。
ちゃんと、紗羅に渡せると良いわね・・・」
神谷:「お前・・・、気付いてたのか?」
桐生:「当然じゃない。・・・紗羅を見つめては、左ポケットに手を突っ込んでばかり・・・。
・・・幾らなんでも、バレバレよ・・・」
神谷:「紗羅は・・・、受け取ってくれるだろうか・・・」
桐生:「何を弱気になってるのよ!! 当たって砕けてきなさい!!」 (背中を押す)
神谷:「おいっ!! 何するんだ!!」
桐生:「・・・うるさい。良い、よく聞きなさい。・・・必ず紗羅を幸せにしてあげて・・・」
神谷:「あぁ・・・、約束する・・・」
桐生:「約束よ・・・。さ~てと・・・」
神谷:「ん?」
桐生:「紗羅~!! 奏太が大事な用事があるみたいよ~!! ちょっと来てくれる~!?」
藤宮:「え? うん、分かった・・・!」
神谷:「悠真・・・、お前・・・」
桐生:「しっかり決めなさい・・・。じゃあね・・・」
神谷:「・・・」
藤宮:「あれ? 悠真は・・・?」
神谷:「紗羅・・・、大事な話があるんだ・・・」
藤宮:「え? ちょっと・・・、奏太・・・、膝まづいて・・・、どうしたの・・・?」
神谷:「・・・紗羅。・・・受け取ってくれないか・・・?」
藤宮:「え? これって・・・」
神谷:「・・・結婚しよう、紗羅。これから先・・・、俺がお前を支える・・・」
藤宮:「奏太・・・」
神谷:「ん?」
藤宮:「本当に後悔しない・・・?」
神谷:「後悔するわけないだろう・・・」
藤宮:「・・・私、こんなに幸せで大丈夫なのかな・・・」
神谷:「え?」
藤宮:「はい・・・。・・・幸せにしてね・・・。奏太・・・」
神谷:「あぁ・・・、勿論だ・・・」
間
藤宮:(N)「気付くと、私達は、悠真と、ギャラリーに訪れたお客様に、
沢山のおめでとうと、拍手を貰っていた・・・。
高校の頃から、ずっと私を支えてくれた大事な人・・・。
私は・・・、奏太と、この先も・・・、ずっと一緒に過ごしたい・・・。
そう・・・、願った・・・」
桐生:「紗羅・・・、奏太・・・、おめでとう・・・。
さ~て、これから益々、忙しくなるわよ~。結婚式の準備とか~。
何なら、私、神父も引き受けちゃう!」
神谷:「あっはははは。その時は、頼むのも良いかもな~」
藤宮:「うん・・・! あ・・・、お客様だ・・・。
ねぇ、奏太・・・」
神谷:「どうした?」
藤宮:「お客様の対応があるから・・・、先に帰って大丈夫だよ・・・」
神谷:「一人で平気か・・・?」
藤宮:「うん・・・。仕事が終わったら・・・、後で、3人で、お祝いしたいから、準備お願い出来る・・・?」
神谷:「分かった。・・・悠真と準備しとくよ」
桐生:「え? どうしたの?」
神谷:「さぁ、俺達は、この後のクリスマスパーティーの準備だ。
買い出しした後、俺の家に行くぞ」
桐生:「仕方ないわね~。付き合ってあげる。・・・じゃあ、紗羅。また後でね~」
藤宮:「うん。準備宜しくね~。・・・さてと・・・、もう少し頑張らなきゃ・・・。
あ、いらっしゃいませ~」
間
藤宮:「・・・ありがとうございました。またのお越しをお待ちしてます。
ふ~・・・、もう、こんな時間・・・。
急いで、帰る準備しないと・・・。
・・・ん? (電話がかかってくる)
はい、もしもし・・・、はい・・・、・・・え? 私の個展ですか?
・・・ありがとうございます・・・。
え? ・・・打ち合わせですか・・・? 明後日なら・・・大丈夫です・・・。
はい・・・、はい・・・、宜しくお願いします・・・!!」
藤宮:「はい、失礼します・・・! 明後日の打合せ、宜しくお願いします!!
嘘・・・、夢みたい・・・。・・・ようやく夢だったギャラリーの個展が開ける・・・。
此処まで、長かったな~・・・!
ふふふ・・・、奏太も、悠真も、この後・・・、この事知ったら、驚くだろうな~!
あ、そうだ!! この際、今から電話で驚かすのも! うっ!!
ゴホッゴホッ・・・。嘘・・・!? こんなときに発作が・・・。
・・・ゴホッゴホッ!! ・・・最近、体の調子も良いから、油断してた・・・。
早く・・・、薬を・・・、飲まないと・・・。・・・あっ・・・!! (倒れる)
・・・ゴホッゴホッ。痛っ・・・!! 足・・・、挫いちゃった・・・。
でも・・・、このままじゃ・・・、駄目・・・。這ってでも・・・薬・・・、取りに行かなきゃ・・・!!
ゴホッゴホッ!! ・・・嫌だよ・・・! 折角・・・、此処まで、夢に辿り着いたのに・・・!
諦めたくない・・・!! ゴホッゴホッ!! ゴホッゴホッ!! ・・・奏太・・・」
間
神谷:「・・・よし、パーティーの準備は、こんな物か・・・。それにしても、紗羅・・・、遅いな~・・・」
桐生:「そうね~・・・。もうすぐ・・・、日付、変わっちゃう・・・」
神谷:「紗羅・・・。
・・・ん? 電話だ・・・」
桐生:「紗羅から?」
神谷:「いいや、知らない番号だ・・・。
もしもし・・・。・・・え・・・? ・・・はい・・・。・・・分かりました・・・。
・・・連絡・・・、ありがとうござました・・・。・・・はい、失礼します・・・。
・・・嘘だろう・・・」
桐生:「何? どうしたのよ?」
神谷:「・・・警察からの連絡だった・・・」
桐生:「え? どうして警察が・・・?」
神谷:「・・・紗羅が・・・、ギャラリーで・・・、亡くなったと・・・」
桐生:「嘘・・・」
神谷:「紗羅・・・。うっ・・・」
桐生:「奏太・・・! しっかりしなさい! 奏太・・・!!」
間
神谷:(N)「俺の大事な紗羅が、この世を去った・・・。
それからの数か月は・・・、何もかもが色褪せて見えて、どうでもよくなっていた・・・」
(奏太の家を訪ねる悠真)
神谷:「・・・紗羅。・・・どうして、俺を置いて行ったんだ・・・。・・・紗羅・・・」
(部屋のチャイムを鳴らす)
桐生:「・・・ねぇ、奏太・・・。そこに居るんでしょう・・・。お願い、開けて頂戴・・・」
神谷:「紗羅・・・。あんなに冷たい床で、一人、寂しく・・・、俺達を呼び続けていたんだよな・・・。
・・・俺が、ギャラリーに残って居れば・・・、お前は・・・、死ななかったんだ・・・。
・・・許してくれ・・・。・・・紗羅・・・」
桐生:「いつまで、塞ぎ込んでるつもり・・・。あんたの気持ちも分かる・・・。
でも・・・、紗羅の葬式にも来ないで・・・、こうやって自分の殻に閉じこもっていても、
あんたも・・・、辛いだけよ・・・」
神谷:「お前に何が分かる・・・。俺がもっと気を付けていたら・・・、紗羅を守る事が出来たんだ・・・!
・・・なぁ、そうだよな・・・。紗羅・・・?」
藤宮:「奏太・・・」
桐生:「あんたに見えてる紗羅は、あんたが都合良く作り出した幻に過ぎないの!!」
神谷:「違う!!! 紗羅は、目の前に居る・・・!! なぁ、紗羅・・・?」
藤宮:「奏太・・・」
桐生:「好い加減になさい!! そんな腑抜けた姿、紗羅は望んで無いわよ!!」
神谷:「悠真・・・。・・・。・・・お願いだ、放っておいてくれ・・・。
もう・・・、これ以上・・・、俺を苦しめないでくれよ・・・」
桐生:「そう・・・。分かった・・・。
あんたが、その気なら、私にも考えがある・・・。
良いこと? よくお聞きなさい。・・・紗羅のギャラリーだけど・・・、引き払うことが決定したわ・・・」
神谷:「何だと・・・? おい・・・、冗談だよな・・・?」
桐生:「いいえ、本気よ。・・・紗羅の両親とも相談して、決まったのよ。
今、展示されてる絵は・・・、全部、売るのも決まったから・・・」
神谷:「え? 紗羅の思い出が・・・、全部・・・、無くなる・・・?」
桐生:「要件は伝えたわよ・・・。私は、ギャラリーに戻るわ・・・」
神谷:「・・・紗羅。・・・俺は、どうしたら・・・」
間
(高校の頃)
藤宮:「悠真・・・、私ね・・・、大人になったら、イラストレーターになって、自分のギャラリーを開くのが目標なんだ・・・」
桐生:「良い目標じゃない・・・。・・・紗羅は、こんなに絵を描くのが上手いから、上手く行くわよ」
藤宮:「ありがとうね、悠真・・・。私、頑張る・・・!」
間
桐生:「紗羅・・・。・・・貴方・・・、立派だったわよ・・・。
・・・あらっ、この額縁だけ、カーテンがかかってる・・・。え・・・、この絵は・・・」
神谷:「はぁ、はぁ、はぁ、・・・悠真! ・・・紗羅の大事な絵は誰にも渡さない!!」
桐生:「何よ、今更・・・。そう思ってたのなら、もっと早くに動きなさいよ・・・」
神谷:「お前に、俺の苦しみが分かって堪るか・・・。・・・結婚のプロポーズをした当日に・・・、
俺の大事な紗羅は、此処で、一人、寂しく死んだんだ!!!
俺が・・・、あの時・・・、一緒に残って居たら!!!」
桐生:「独りよがりも好い加減にしなさいよ!! あの時、紗羅が一人で残りたかった理由も、考えなさいよ!!
紗羅はね・・・、このプレゼントを、最後の最後まで、仕上げていたのよ!!」 (額縁に掛かってるカーテンを引く)
神谷:「これは・・・、俺の自画像・・・!? ・・・紗羅・・・」
藤宮:「ごめんね・・・、奏太・・・」
神谷:「紗羅!? 紗羅の声が聞こえる!?」
桐生:「あの子ったら・・・、カーテンを引いた後に、こんな仕掛けまで・・・。奏太・・・、そっちの壁を見て見なさい・・・」
神谷:「紗羅・・・」
(向かいの壁には、映写機の映像が流れている)
藤宮:「う~ん・・・、上手く撮れてるかな・・・?
・・・奏太・・・。・・・クリスマスプレゼント・・・、遅くなってごめんね・・・。
・・・本当は、去年、渡したかったんだけど・・・、体調が良くなくて渡せなかった・・・。
でも・・・、今年はね・・・、怖いくらい体調も良いから・・・、私、頑張ったんだよ・・・。
奏太の事を思って、大事に一つ一つ描いたの・・・。
この一年間・・・、奏太と一緒に、色々な所に行ったよね~・・・。
一緒に観に行った海も綺麗だった・・・。
・・・私ね・・・、この一年間、幸せだったけど・・・、何だか怖くなったの・・・。
だから・・・、こんな録画を、イヴの前日に残そうと思ったんだ・・・。
あ・・・、でも・・・、こんな心配事ばかり観たら・・・、奏太に怒られちゃうかな・・・?
・・・奏太・・・。・・・メリークリスマス・・・」
神谷:「・・・メリークリスマス・・・、紗羅・・・。
・・・こんな物まで・・・、俺の為に用意してくれてたんだな・・・」
桐生:「・・・ねぇ、奏太・・・」
神谷:「何だ・・・?」
桐生:「紗羅の絵を全部売るのは、私の考えた嘘よ・・・」
神谷:「そうだったのか・・・。どうして、そんな嘘を付いたんだ・・・」
桐生:「そうでもしなきゃ、あんたは・・・、自分の殻から出てこないと思ったのよ・・・」
神谷:「悠真・・・」
桐生:「この紗羅のギャラリーは、どうするかは、これから考えましょう・・・」
神谷:「その事だけど・・・、もう決めた・・・」
桐生:「え?」
神谷:「此処は、俺が運営し続ける・・・。
紗羅の絵を、一人でも、多くの人に見て欲しいんだ・・・」
桐生:「そう・・・。じゃあ、私も手伝う・・・」
神谷:「え?」
桐生:「何よ、嫌とは言わせないわよ」
神谷:「わかった、宜しく頼む」
桐生:「ええ・・・。
・・・あ・・・、外を見て。・・・雪よ・・・、綺麗・・・」
神谷:「あぁ、綺麗だな・・・」
(回想)
藤宮:「私ね・・・。・・・生まれ変わったら、雪になりたい・・・。
綺麗だね・・・って、誰かの心を温かくしてあげたいの・・・」
(回想、終わり)
神谷:(M):「なぁ・・・、紗羅・・・。天国から見えているか?
お前の願いは・・・、ちゃんと・・・、届いたよ・・・」
終わり