
Fracture Limit
フラクチャー・リミット
作者:片摩 廣
登場人物
氷室 迅(ひむろ じん)・・・ サークルのリーダー
並行世界では、 アレン・ヴァルターと呼ばれている
水城 詩織(みずき しおり)・・・サークルのヒロイン
並行世界の名前:エリス・ノア
天瀬 陽真(あませ はるま)・・・サークルのメンバー、氷室の友人
並行世界の名前:カイ・ストラウド
レオンをライバル視してる
月森 碧(つきもり あおい)・・・サークルのメンバー
並行世界の名前:セリナ・オルフェ
祈りの力を持っている
黒宮 斗真(くろみや とうま)・・・サークルのメンバー
並行世界の名前:ダリウス・クロウ
比率:【3:2】or【2:2:1】 ※不問は、黒宮 斗真/ダリウス・クロウ
上演時間:【90分】
オンリーONEシナリオ2526、
9月の誕生石、サファイアをテーマにしたIF系のシナリオ
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CAST
・氷室 迅/アレン・ヴァルター
・水城 詩織/エリス・ノア
・天瀬 陽真/カイ・ストラウド
・月森 碧/セリナ・オルフェ
・黒宮 斗真/ダリウス・クロウ
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(???)
セリナ:「・・・お願い・・・。私達の世界を・・・、助けてください・・・」
間
氷室:「ん・・・? 誰かの声が聴こえなかったか・・・?」
天瀬:「何、電波みたいな事、言ってんだ。さては、また徹夜して、ゲームしてたな?」
氷室:「違うって。頭の中に声が聴こえたんだ・・・」
天瀬:「どんな声が?」
氷室:「女性の声・・・。何だか、懐かしいような・・・、不思議な声だった・・・」
天瀬:「ゲームのやり過ぎだな。こりゃあ~」
水城:「あんた達~、男同士で昼間から、何をイチャついてるのよ~」
氷室:「はぁ!? そんな事してないから!」
水城:「良いのよ、照れなくても~。我等、アニメ研究会!!
BL展開も、美味しくいただくんだから~!」
氷室:「お前な~~~!!」
天瀬:「僕・・・、」
氷室:「あ?」
天瀬:「迅君となら・・・、いつでも良いよ・・・」
氷室:「お前、何、言ってるんだ!? おい・・・、近付いてくるな・・・!!」
水城:「BL展開、来た~!!!」
氷室:「そこ!!! 喜ぶな~!!!」
天瀬:「僕の事・・・、嫌い・・・?」
氷室:「う・・・うううう~
良いから~、早く離れろ~!!!!!」
間
氷室:「はぁ・・・、はぁ・・・、はぁ・・・、はぁ~・・・!!」
水城:「ふふふ・・・、御馳走様~。・・・はい、これ、撮影料~」
天瀬:「毎度あり~。これで、明日の昼の学食は、スペシャル定食が食べられる~」
氷室:「お前らな~・・・」
(アニメ研究会の部屋のドアが開く)
黒宮:「・・・ふふふ。部屋の前が賑やかだと思ったら、迅さん達でしたか。何か面白い事でもありました?」
水城:「斗真、聞いてよ~。それがね~」
黒宮:「はい」
氷室:「あああああああ~!!!! ああああああ~!!!!」
水城:「あ~もう!! 往生際が悪い!! 好い加減に覚悟を」
月森:「ストップ。・・・迅君弄りは、そこまでにしてあげて。ね?」
水城:「碧が、そこまで言うなら・・・。・・・はぁ~、今日も可愛い~・・・」
月森:「もう・・・、可愛い、言うな~」
天瀬:「あぁ~、和むな~」
氷室:「おい」
天瀬:「ん?」
氷室:「さっきの撮影料・・・、俺にも半分、よこせ!」
天瀬:「嫌だね~・・・、これは、明日の俺の学食の大事な金なんだ~」
氷室:「そんなの知るか! タダ働きは、ごめんだ~」
月森:「撮影料?」
水城:「碧、良い所に食いついた~。実は~・・・」
氷室:「そこ、どさくさに紛れて、話そうとするな!!!」
天瀬:「迅君・・・、そんなに怒ったら、嫌だよ・・・。僕達の事、話されるのは、そんなに嫌なの・・・?」
氷室:「ひいいいいいっ」
水城:「さっきの続き来た~!!! 碧、カメラの準備、準備・・・!!!」
月森:「うん!!!」
氷室:「おいっ、カメラの用意なんかするな!!!」
天瀬:「良いじゃない。・・・僕は、迅君となら・・・、何処までも、オッケーだよ・・・」
氷室:「何がオッケーだ!! 俺は、良かない・・・!! 早く、放れろ・・・」
月森:「詩織ちゃん!! カメラ、持ってきた!!」
水城:「ナイス!! ・・・さぁ、撮影、開始~!!」
氷室:「いきなり始めるな!!」
天瀬:「さぁ、撮影が始まったよ~。・・・観念してね、迅君・・・」
氷室:「くっ・・・、陽真も演技モードに・・・」
水城:「ほらっ、ほらっ、観念しなさ~い」
黒宮:「あの・・・、皆さん・・・」
水城:「もう、斗真・・・。良い所で、何よ~」
黒宮:「何か、今日の空・・・、変じゃないですか? 気のせいかもしれないですけど・・・」
水城:「空・・・?」
月森:「・・・」
天瀬:「・・・」
氷室:「・・・う~ん、言われてみれば、変な気もする・・・。でもな~・・・」
天瀬:「また氷室が難しい顔してる。そんなこと考えながら活動してるから、俺に負けるんだぞ?」
氷室:「いつから勝ち負けになった!? お前が、俺を押し倒しただけだろ!!」
天瀬:「そうだっけ?」
氷室:「お前な~・・・」
水城:「あっはははは!!! 陽真ったら、いつもそうやって冗談ばかり・・・。
でも、そうね・・・。あの空・・・、私もなんだか胸騒ぎがする・・・」
月森:「・・・このままだと、何かが必ず壊れる・・・。
上手く言えないけど・・・、世界のどこかが歪んでいる気がする・・・」
水城:「碧・・・。・・・今、貴女・・・」
月森:「ふえっ!? ・・・私、何を言ってるんだろう・・・」
天瀬:「歪んでる? そんなのSFアニメの読みすぎだろ~。
でも・・・確かに、何か、いつもと・・・、違う気はするな・・・」
黒宮:「皆さん・・・、今日は、もう解散しませんか・・・?」
水城:「え? どうして?」
黒宮:「上手く言えないんですけど・・・、何か嫌な予感が・・・」
水城:「嫌な予感?」
氷室:「何だかおかしい。空を見てから・・・、時間の感覚が変だ・・・」
天瀬:「・・・え? 気のせいだろ。はぁ~・・・、迅が、また変なこと考え始めたよ~」
水城:「ちょっと! 陽真、気のせいじゃない! やっぱり変よ! 外も室内も、何かが違って来てる・・・?」
月森:「・・・これは、ただの違和感じゃない。・・・世界の境界が・・・、揺らぎ始めた・・・」
水城:「え!? 碧・・・、何を言ってるの!?」
氷室:「何かが変だ・・・。水城!! 部屋を出るぞ!!」
水城:「でもっ!!」
月森:「もう、何もかも手遅れ・・・。・・・世界は・・・」
水城:「碧っ!! どうしたの!? 正気に戻って!! 早く逃げなきゃ!!」
氷室:「・・・詩織。・・・俺達・・・、このままじゃ・・・」
天瀬:「うわっ! 何だこれ! ・・・頭が割れるように痛い・・・!!」
氷室:「陽真!! しっかりしろ!!」
水城:「皆、手を繋いで! 離れないで!!」
月森:「目を閉じて・・・。落ち着いて、全てを感じて・・・受け入れなさい・・・」
黒宮:「迅さん・・・、僕・・・」
氷室:「・・・う、うわあああああああああああああああああっ!」
長い間
(???)
氷室:「うっ・・・うううう・・・。・・・此処は何処だ・・・?」
カイ:「おい! 早く立ち上がれ!!
もう降参か!? 剣の稽古の途中に、よそ見をするとは・・・、良い度胸してるな!!」
氷室:「陽真・・・? その恰好・・・、どうしたんだ・・・?」
カイ:「ハ・・・ル・・・マ? 何だ、その言葉は?」
氷室:「え・・・?」
カイ:「ん? 何処か、頭でも打ったのか? お前?」
エリス:「ねぇ、どうしたの!?」
カイ:「すまない、エリス! ・・・こいつ、何か変なんだ・・・」
エリス:「どう、変なのかしら?」
カイ:「それがだな・・・」
氷室:「エリス・・・? お前は・・・、詩織じゃないのか・・・?」
エリス:「シオリ・・・? 何、訳の分からない事を言ってるのよ!
私は、エリス・ノア。・・・そしてこっちが・・・」
カイ:「俺は、カイ・ストラウド・・・」
氷室:「エリスに・・・、カイ・・・」
エリス:「どう? 思い出した?」
氷室:「・・・」
カイ:「はぁ~あ、駄目だな、こりゃあ~」
エリス:「もう! 幾ら剣の稽古だからって、本気を出し過ぎ!!
・・・アレンが変になったじゃないの!!」
氷室:「アレン? それが、俺の名前・・・?」
エリス:「ええ、そうよ。・・・貴方は、アレン・ヴァルター。
・・・自分の名前まで、忘れてしまうなんて・・・。
これじゃあ、剣の稽古は続けられないわね・・・」
カイ:「ふんっ! 軟弱物め!!」
エリス:「ちょっと!! 今の言い方は!!」
カイ:「事実だろう!!」
アレン:「・・・」
カイ:「此処まで言われて、言い返す事すら、出来ないのか!! ・・・はぁ~、剣の稽古は止めだ。俺は部屋に戻る」
エリス:「カイ・・・」
アレン:「俺は・・・、アレン・ヴァルター・・・。・・・いいや、違う・・・、俺は・・・」
エリス:「・・・アレン、さぁ、立ち上がって」
アレン:「え?」
エリス:「良いから早く!」
アレン:「あ、あぁ・・・」
エリス:「セリナなら、何とか出来るかもしれない・・・」
アレン:「セリナ・・・?」
間
(??? 中庭)
セリナ:「主よ・・・。どうか、私達を導き・・・、救いたまえ・・・」
エリス:「セリナ!! お願い・・・、アレンを見て。
カイと剣の稽古してたら・・・、変になったの・・・!!」
セリナ:「ええ、わかっているわ。・・・彼を連れてきてくれてありがとう」
アレン:「・・・セリナ・・・? どうしてだ・・・。・・・お前は、月森・・・だろ・・・」
セリナ:「ツキモリ? ・・・なるほど。・・・そうでしたか・・・」
エリス:「セリナ、何か分かったの?」
セリナ:「ええ、今、分かりました。・・・彼は、私達の知っているアレンじゃありません」
エリス:「え!? ・・・分かるように説明して」
セリナ:「彼は・・・、私達の住む世界とは違う別の世界から来た者です」
エリス:「別の・・・世界・・・」
アレン:「・・・そんな・・・。俺は・・・、どうしたら元の世界に戻れる・・・!!」
セリナ:「此処は並行世界。無数に分かれた可能性の一つ・・・。貴方が生きてきた世界とは違う、もう一つの現実です」
アレン:「そんな事、知るか!! 良いから、俺を元の世界に戻してくれ!!」
エリス:「アレン・・・」
アレン:「・・・並行世界・・・? 俺たちがいる世界と、同じようで違う? そんなもの・・・」
セリナ:「信じられないのも当然ですね。でも、貴方はすでに世界の干渉を受けている。
もう一つの世界の記憶が、残っているでしょう?」
アレン:「・・・っ・・・!」
セリナ:「貴方は、境界を越えてしまったの。この世界に必要とされたから。
そして・・・、全世界の未来を変える選択権を託された者・・・」
アレン:「未来を・・・変える・・・? この俺が・・・?」
セリナ:「あの空を、御覧なさい。・・・(静かに空を見上げる)
この世界は今、崩れかけている・・・。ほんの小さな誤差・・・一つの選択のズレが、全てを壊してしまうの。
だから・・・あなたの存在が必要なのです・・・」
アレン:「・・・俺が、・・・必要・・・」
エリス:「アレン・・・。・・・あ、中身が私達の知るアレンと違うから、アレンと呼ぶのは、おかしいのか・・・」
アレン:「いいや、アレンで良いよ」
エリス:「え? でも・・・」
アレン:「その方が、お前も、混乱はしないだろう?」
エリス:「それは、そうだけど・・・」
セリナ:「うふふふ・・・。アレン・・・、
あなたが選ぶ未来が、この並行世界と、貴方が生きてきた世界の両方を救う道になる。
アレン・・・、そして、氷室 迅。・・・二つの名前を持つ貴方に、私達の未来を託します・・・」
間
(部屋に戻って来たカイ。そこにダリウスが声をかける)
カイ:「チッ・・・、部屋に居たのか・・・」
ダリウス:「お帰り。いきなり舌打ちされる言われはないんだが。
・・・その様子だと、何かあったの?」
カイ:「あぁ、そうだ・・・。・・・剣の稽古の途中から、アレンの様子が、おかしくなったんだ・・・」
ダリウス:「ふ~ん、相変わらず君達は熱いな~。
だが・・・、その熱さが、いつかは、君を滅ぼすかもしれないよ」
カイ:「言ってくれるな~・・・。お前こそ、いつも影みたいに動いて・・・、何を考えてるのか、仲間でも分からない」
ダリウス:「考えを晒す必要があるの? 僕は僕のやり方で、この世界の困難を切り抜けてきた。ただそれだけさ・・・。
でも・・・、仲間と思ってくれる事は感謝するよ」
カイ:「・・・さっきのアレン・・・、まるで別人だった・・・。くそっ!!! 何が起きてるんだ・・・!!」
ダリウス:「え!? 戻って来たばかりなのに、何処に行く気?」
カイ:「お前には、関係ないだろう!!」
(荒々しくドアを閉める)
ダリウス:「うっ!! ・・・はぁ~・・・、カイの性格も、考えもんだよ・・・。
ふ~ん・・・、まるで、別人だった・・・、ね・・・」
間
(中庭から、校舎に続く廊下)
エリス:「ねぇ~、お腹、空いてない?」
アレン:「別に、空いてない・・・」
エリス:「ええええええ!!! ねぇ、お願い!! 何か、食べに行こう!!」
アレン:「一人で、食べに行けば良いだろう!!」
エリス:「そう言わないで!! ほらっ、付いて来て!!」
アレン:「おいっ・・・!!」
間
(学園の食堂)
カイ:「チッ・・・、何で、お前が此処に居る・・・」
エリス:「あちゃ~・・・」
アレン:「俺は・・・、来たくなかったんだ・・・、こいつに無理やり連れられて・・・」
カイ:「はぁ・・・、折角、気分転換に何か食べようとしたのに・・・。お前の顔を見たら、食べ物も不味くなる・・・」
アレン:「何だと!!?」
エリス:「もう! 顔を合わすたびに喧嘩は止めてよ!!」
ダリウス:「そうだ、そうだ! 周りの迷惑になるから、外でやり合いなよ~」
カイ:「ダリウス・・・、付いて来たのか・・・!!」
ダリウス:「へへっ、君のその態度を見たら、好奇心が抑えられなくて」
アレン:「お前は・・・、斗真・・・なのか・・・?」
ダリウス:「トウマ? ・・・誰と勘違いしてるのさ~。・・・もしかして、僕の顔も忘れたの!?」
カイ:「おい・・・、俺の質問に答えろ。・・・お前は、誰なんだ・・・?」
アレン:「・・・俺は・・・、うっ・・・、頭が痛い・・・」
カイ:「おいっ、人の話を聞け!! おいっ!!」
長い間
氷室:「・・・う・・・、う~ん・・・」
水城:「あ? ようやく目覚めた」
氷室:「エリス・・・!!」
水城:「は? エリス・・・? 誰よ、それ・・・。はぁ~・・・、あんた、余程強く頭を打ったのね~」
氷室:「え? 此処は・・・、何処だ・・・」
月森:「迅君・・・、大丈夫・・・?」
氷室:「碧・・・。俺は・・・、元の世界に戻って来れたのか・・・」
月森:「元の世界・・・? さっきから何を言ってるの・・・?」
氷室:「俺は・・・」
天瀬:「迅!! 良かった~!!
派手に転んでから、俺達が幾ら呼んでも、目を覚まさないから、救急車を呼ぶか話し合ってたんだぜ」
氷室:「陽真・・・。本当に、陽真なのか・・・?」
天瀬:「何か、気持ち悪いな~・・・。・・・あぁ、お前の知ってる俺だよ」
氷室:「良かった~・・・」
天瀬:「なぁ、こいつ・・・、どうしたんだ?」
水城:「さぁね。私にも、さっぱり!」
月森:「迅君・・・、病院に行かなくても平気・・・?」
氷室:「あぁ・・・、問題ないよ・・・」
黒宮:「・・・迅さんの無事も分かったんです。・・・何か、食べに行きませんか?」
水城:「良いわね~。私、さっきからお腹が空いてたのよ~」
天瀬:「良いね~。俺はがっつり食べたいから、ラーメンが良い!」
水城:「はいはい・・・」
氷室:「今・・・、何て?」
水城:「え? だから、お腹が・・・」
氷室:「あっちの世界のお前も・・・、お腹が空いていた・・・」
水城:「あっちの私?」
天瀬:「迅・・・、お前、どんな夢を見たんだよ~」
氷室:「あれは、全部・・・、夢だと言うのか・・・」
黒宮:「ラーメンの案が出ました。・・・他の案は、ありますか?」
水城:「う~ん・・・」
天瀬:「詩織~・・・!!」
水城:「潤んだ目で、こっち見るな!! ・・・はぁ~・・・、ラーメンで良いわよ・・・」
天瀬:「やりぃ~!!」
黒宮:「それでは、決定ですね。・・・お店に向かいましょう」
天瀬:「ラーメン♪ ラーメン~♪」
月森:「ん? ・・・迅君、どうしたの?」
氷室:「何でもないよ・・・」
間
氷室:(N)「お店に着いて注文を待つ間も、俺は、あの世界の事を考えていた・・・。
あれは本当に、ただの夢だったのだろうか・・・」
月森:「はい、これ」
氷室:「え?」
月森:「迅君、ちゃんと食べないと駄目だよ。私のチャーシュー、あげるね」
氷室:「ありが・・・とう・・・」
月森:「ねぇ・・・、何かあった?」
氷室:「どうして?」
月森:「目覚めてから、迅君・・・、何だか思い悩んでる気がして・・・」
氷室:「碧は・・・、その・・・」
月森:「何?」
氷室:「並行世界は・・・、あると思うか?」
月森:「並行世界・・・?」
氷室:「・・・俺達と姿がそっくりだけど・・・、性格も違うし・・・、別の名前で・・・、その・・・」
月森:「う~ん、私とそっくりな・・・、人なんだよね?」
氷室:「そうだ」
月森:「それなら会ってみたいな。・・・どんな食べ物が好きかとか、色々ね、お話がしてみたい!」
氷室:「月森らしい返答で安心したよ」
水城:「何々~、面白そうな話しをしてるじゃな~い」
氷室:「お前は、ラーメンに集中してろ」
水城:「もう、冷たすぎ~。・・・並行世界ね~。そこに繋がるか分からないけど、時々、変な夢を見る事はあるな~」
氷室:「変な夢?」
水城:「見たことも、行ったことも無い風景なのに、何故か懐かしく感じるのよ」
天瀬:「あ、そんな夢なら、俺も見たことがある。・・・たまに見る夢なんだけどよ、・・・西洋の服装を着てるんだ」
氷室:「なんだと・・・?」
水城:「あんたが、西洋の服装? 何それ、似合わない~」
天瀬:「似合わないとは、何だよ~」
黒宮:「あの・・・」
水城:「ん? 斗真? どうかした?」
黒宮:「あ・・・、いえ・・・、何でも無いです・・・」
氷室:(M)「どういう事だ・・・。皆、夢として、あの世界の出来事を覚えているのか・・・?」
月森:「皆、良いな~・・・」
氷室:「どうした? 碧」
月森:「私は・・・、夢のこと、覚えてない・・・。朝、起きるとね、その瞬間に、忘れちゃうんだ・・・。
だから、皆が羨ましい~・・・」
水城:「あああああ、もう!!! 何て可愛いの~!!!」
天瀬:「そこ、落ち着け、店の中で悶絶するな」
水城:「何よ、もう~」
氷室:「あははははは・・・」
間
水城:「ふぅ~、喰った、喰った~」
氷室:「少しは、女を自覚しろ」
水城:「うるさい、男女差別、反~対~」
氷室:「はぁ~・・・」
黒宮:「はははは・・・。・・・それでは、僕達は、こちらなので」
氷室:「あぁ・・・。また明日な」
天瀬:「なぁ、迅・・・」
氷室:「何だ?」
天瀬:「詩織か碧・・・、好い加減、どちらが好きか、はっきりしろよ」(小声)
氷室:「はぁ!? いきなり何を言い出すんだ、お前は!!」
天瀬:「あはははは!! じゃあまた明日な~」
氷室:「何なんだよ~・・・」
水城:「そんなに顔を真っ赤にして、陽真に何を言われたの~?」
氷室:「いちいち、気にするな」
水城:「気になるから訊いてるのよ~。ねぇ、碧」
月森:「え? 私!?」
水城:「あれ~、碧は気にならないんだ。・・・迅が何を言われたか」
月森:「私は、別に・・・。・・・迅君にも、プライバシーがあるだろうし・・・」
氷室:「碧・・・。お前は、本当、優しいな。・・・それに比べて・・・」
水城:「何よ」
氷室:「お前は、少しは、碧を見習え」
水城:「どういう意味よ!」
氷室:「そのままの意味だ」
水城:「ムキ~~!!」
氷室:「何だ、それは? 猿の真似か?」
水城:「そんな訳あるはず無いだろう!!」
月森:「うふふ・・・。二人共~、仲が良いんだから~。
・・・並行世界か~・・・。どんな世界か気になるな~・・・」
間
氷室:(N)「その夜・・・、家に帰宅してから、俺は悩んだ・・・」
氷室:(M)「・・・詩織も、碧も・・・、大事なアニメ研究会の仲間だ・・・。
俺は、どちからを選ぶなんて・・・、考えた事も無かった・・・。
くそっ・・・、陽真め・・・。・・・余計な事を・・・。
駄目だ、・・・今日は疲れた・・・。・・・もう寝よう・・・」
間
(???)
アレン:「・・・う・・・、ううううう・・・」
カイ:「おい、ようやく目覚めたみたいだ」
エリス:「ねぇ、気分はどう・・・?」
アレン:「・・・そうか・・・、此処は、並行世界なのか・・・」
エリス:「その様子だと、私達の知ってるアレンには、戻ってないのね・・・」
アレン:「元の世界に戻れたと思ったら・・・、また、この世界に戻された・・・。何が起きてるんだ・・・」
セリナ:「それだけ、二つの世界のバランスが、揺らぎ始めてるのです」
アレン:「お前は、確かセリナだったか?」
セリナ:「・・・怪我の具合は、どうですか?」
アレン:「怪我? 俺は何処も・・・、うっ・・・!」
エリス:「もう! まだ無茶しちゃ駄目よ! ・・・貴方、気絶して倒れた時に、頭を打ってるのよ・・・」
アレン:「・・・」
セリナ:「怪我の治療は終わったので、今夜は安静にしてくださいね」
エリス:「セリナに感謝しなさいよ。・・・貴方が倒れた後、森にまで行って、薬草を積んで来てくれたんだから」
アレン:「ありが・・・とう・・・」
セリナ:「礼には及びませんよ。困っている人が居たら、助けるのが私の使命です」
エリス:「セリナはね。神様に使える聖職者なの。・・・だから、絶対に手出しは駄目だからね」
アレン:「言われないくても、手出しはしないよ」
カイ:「おい、お前」
アレン:「む・・・、何だよ・・・」
カイ:「元の世界に戻れたと言うのは、どういう意味だ? 説明しろ」
アレン:「説明も何も・・・、食堂で目の前が真っ暗になった後・・・、
次に気が付いたら、大学の見慣れた中庭のベンチに寝かされていた・・・。
そこには、皆が居て・・・、俺の無事を確認した後は・・・、皆でラーメンを食べに・・・」
カイ:「ラーメン? ・・・何だ、その聞いた事ない言葉は・・・?」
アレン:「そうか・・・。この世界には・・・、ラーメンは、ないんだな・・・」
エリス:「とにかく、貴方は、倒れた後、一度、元の並行世界に戻ったと言うわけね?」
アレン:「その通りだ」
エリス:「ふ~ん。・・・ねぇ、セリナ」
セリナ:「何でしょう?」
エリス:「私達の住む、この世界と・・・、彼が住む世界・・・。行き来が出来るようになったの?」
セリナ:「本来であれば、お互いの世界に干渉する事など、出来ないはずです・・・。
ですが・・・、世界が崩れかけ・・・、不安定になっている今は・・・」
エリス:「可能なの?」
セリナ:「不可能とも言い切れないです・・・」
アレン:「それじゃあ、また元の世界に、戻るのは可能なのか?」
セリナ:「ええ・・・。でも・・・、例え戻れたとしても・・・、
不安定になっている原因を解決しなければ・・・、いずれ・・・」
アレン:「いずれ・・・、何だ・・・?」
セリナ:「・・・二つの世界だけではなく・・・。
・・・、全ての時間軸の世界は・・・、崩壊し消滅するでしょう・・・」
アレン:「世界が・・・、消滅・・・、する・・・」
カイ:「・・・セリナ」
セリナ:「はい」
カイ:「崩壊から、助かる方法はあるのか?」
セリナ:「今は・・・、見つかっていません・・・」
カイ:「チッ・・・」
エリス:「セリナ・・・、まだ時間は・・・、あるのよね?」
セリナ:「方法を探す時間は残されています。・・・私も、出来る限り、喰いとめてみせます・・・」
エリス:「頼んだわよ」
カイ:「俺は、剣の稽古に行ってくる」
エリス:「え? 今から? カイも、ちゃんと寝ないと!」
カイ:「放って置いてくれ! 何もしないまま寝るなんて、俺はごめんだ・・・!!」
エリス:「カイ・・・」
(部屋を出て行くカイ)
間
アレン:「俺は・・・、どうすれば・・・」
セリナ:「思い詰めてはいけません・・・。世界を救う道は、閉ざされた訳では無いのですから・・・」
アレン:「・・・」
セリナ:「エリス・・・。後は頼みました・・・。私は神殿の書庫に行って調べてきます」
エリス:「うん・・・」
(部屋を出て行くセリナ)
間
アレン:「・・・」
エリス:「元気を出して・・・」
アレン:「・・・同じ顔なのに、・・・性格は違うんだな・・・。・・・詩織や皆に会いたい・・・」
エリス:「・・・ねぇ・・・」
アレン:「何だ・・・?」
エリス:「貴方の世界の・・・、私に似たそのシオリは、どんな性格なのか教えて・・・」
アレン:「・・・詩織は、一言でいえば、明るい。・・・いつも俺や周りを気にしてくれて、
皆を笑顔にする為に、一生懸命なんだ・・・。
時には・・・、こいつ!! とか、思う事もある・・・。
でも、アニメ研究会には、無くてはならない存在なんだ・・・」
エリス:「ふふ・・・、貴方・・・、そのシオリが好きなのね・・・」
アレン:「何でそうなる!?」
エリス:「話してる時の貴方を見てれば分かる・・・。・・・そっか、貴方の住んでる世界も、見て見たいな」
アレン:「なぁ・・・、お前の知ってるアレンの事も教えて欲しい」
エリス:「そうね、良いわよ。・・・アレンは、冷静を装ってるけど、実は熱い部分もあって・・・。
でも・・・、それは絶対に自分では認めたくないの・・・。
周りから見たら、丸分かりなのに・・・」
アレン:「俺とは違うな・・・」
エリス:「当然よ! さっきみたいに、動揺して、赤くなる姿も見たことは無かった。
だからね・・・、何だか、新鮮な気分!」
アレン:「エリス・・・」
エリス:「さぁ、お話は此処まで。・・・セリナの調合した薬は、凄く効くのよ。ゆっくり休んで」
アレン:「ありがとう・・・」
エリス:「その・・・、元の世界のシオリやアニメケンキュウとかいう仲間とも、また会えると良いわね・・・。じゃあね」
(部屋を出て行くエリス)
アレン:「・・・全ての時間軸の世界の崩壊・・・、消失・・・。
救うと言っても、俺に、一体、何が出来るんだ・・・」
間
ダリウス:「・・・おい、アレン・・・。・・・アレン・・・」
アレン:「ん・・・。もう朝か・・・」
ダリウス:「怪我の具合は、どうだ?」
アレン:「・・・不思議だ。もう、何ともない・・・」
ダリウス:「当たり前だ。・・・セリナに感謝しろよ」
アレン:「あぁ・・・。それで、朝から何の用だ?」
ダリウス:「そうだった。・・・カイが中庭で待ってる」
アレン:「俺をか?」
ダリウス:「お前以外に誰が居るんだよ。早く行った方が良いぜ」
アレン:「今度は何が目的なんだ・・・」
ダリウス:「さぁな、僕には分かんない。・・・確かに、伝言は伝えたからな! ちゃんと行けよ!」
アレン:「はぁ・・・」
間
(学園 中庭)
カイ:「・・・ん? 逃げずに来たか」
アレン:「俺に何の用だ?」
カイ:「ほらっ、受け取れ!」
アレン:「おっとと・・・! うっ・・・重っ!!
これは・・・剣・・・?」
カイ:「そうだ! その様子だと、まだ俺の知るアレンには戻ってないようだな」
アレン:「お前とアレンは、どんな関係なんだ?」
カイ:「・・・アレンは、俺が認めたライバルだ。
この学園で、俺とあいつは、首位を競う剣の達人だった・・・」
アレン:「だった・・・?」
カイ:「あぁ、そうだ!! ・・・剣の稽古の途中まで、あいつは、確かに俺の前に居たんだ・・・!!
なのに・・・!! っ!!」(アレンを睨む)
アレン:「カイ・・・」
カイ:「俺をアレンと同じ顔して、憐れんだ顔で見るな!!
あいつは、そんな表情で、俺を見たことなど一度も無い!!
あいつは・・・!!」
アレン:「・・・冷静を装ってるけど、実は熱い部分もあるか・・・?」
カイ:「・・・エリスに聞いたのか?」
アレン:「そうだ・・・」
カイ:「チッ・・・、余計な事を・・・」
アレン:「・・・」
カイ:「あいつは・・・、いつも俺の前に立ちはだかり、俺を奮い立たせてくれる存在だったんだ!」
アレン:「・・・ふっ!! ・・・ふっ・・・!!」(必死に剣を振る)
カイ:「何の真似だ?」
アレン:「カイの言う通りだ。
・・・ふん!! (勢いよく剣を振る)
はぁ、はぁ・・・、俺はお前の知るアレンじゃない・・・。
でも・・・だからって、このまま立ち止まるわけにはいかない!!」
カイ:「だが、お前に何が出来る!! この世界の崩壊を止められると言うのか!?」
アレン:「そんなのは分からない!! でも・・・、これだけは言える・・・」
カイ:「ん?」
アレン:「俺は・・・、この世界も、俺の住む元の世界も、必ず救って見せる!!!」
カイ:「・・・今の言葉、本心か?」
アレン:「あぁ!!」
カイ:「良いだろう!! お前の選択を俺が見届けてやる!!
もし・・・、世界を救えなかった時は・・・、その時は、俺がお前を終わらせてやる!!」
アレン:「それで構わない・・・!!」
カイ:「覚悟しとくんだな・・・。それと・・・、一つお前に言っとく」
アレン:「何だ?」
カイ:「剣の振りがなってない。素振りを続けて、自由自在に扱えるようになれ。良いな!」
アレン:「分かった・・・」
(中庭を去るカイ)
長い間
(廊下でセリナに声をかけられる)
カイ:「チッ・・・。俺は何をしてるんだ・・・」
セリナ:「カイ・・・、貴方も成長しましたね」
カイ:「セリナ! ・・・まさか、お前・・・」
セリナ:「ええ、一部始終、見ていました。・・・分かったでしょう?
彼も・・・、世界を救う為に、出来る事をすると決めたのです」
カイ:「だが、幾らやると決めても、気合で世界は救えるのか!?」
セリナ:「物事を、始める前から疑うのは愚かな行為です。
・・・救えるかのかではなく・・・、救えると願うのです・・・。
負の感情に囚われてばかりでは、前には進めませんよ」
カイ:「・・・」
セリナ:「それに希望は残されてます・・・」
カイ:「何か方法が見つかったのか!?」
セリナ:「ええ。・・・カイ、皆を神殿に呼んでください」
間
ダリウス:「此処が、神殿の内部か~!! 水路や円形の泉もある! 綺麗な所だな~」
カイ:「おい、ダリウス、はしゃぐな!」
ダリウス:「何だよ、少しくらい良いだろう、カイのケチ!」
カイ:「何だと! 表に出ろ!! その根性、叩き切ってやる!!」
エリス:「貴方達ね~、此処は神聖な場よ。少しは弁えて行動して」
アレン:「カイとダリウスは仲が良いんだな」
エリス:「何処がよ・・・」
セリナ:「ようこそ、神殿、アストラル・サンクタムへ。皆さんを歓迎致します。さぁ、こちらへ」
アレン:「呼び出した理由を教えてくれ」
セリナ:「ええ・・・。それでは、まずは天井をご覧ください」
アレン:「これは・・・」
セリナ:「・・・私達が住む世界、オルタネアと・・・、貴方が住む世界、地球が映っています」
アレン:「地球に似ている・・・」
セリナ:「自然と海に恵まれた豊かな世界・・・。ですが・・・」
エリス:「二つの世界が・・・、崩れ始めた・・・」
セリナ:「・・・」
カイ:「・・・今、映ってる二つの世界の崩壊は、これから起こる未来なのか・・・?」
セリナ:「これは・・・、このまま何もしないで居た時の・・・、一つの結果に過ぎません・・・。
私達が、こうしている間にも・・・、世界の運命は、無数に枝分かれをしています・・・。
大事な事は、変えようとする意思・・・」
カイ:「意思・・・」
セリナ:「それと・・・、もう一つ・・・」
アレン:「何だ?」
セリナ:「皆さん、こちらへ」
間
ダリウス:「何か・・・、古い本ばかり置いてあるな~。ゴホッゴホッ・・・!!」
カイ:「懲りないな、お前も・・・。・・・勝手に触るな!」
ダリウス:「・・・」
セリナ:「構いませんよ。・・・皆さんに見て貰いたいのは、この本の此処です・・・」
エリス:「・・・綺麗な天使の絵ね・・・。・・・ん?」
アレン:「どうかしたか?」
エリス:「天使が手に持ってる青い宝石・・・。
こんな宝石・・・、この世界では、見たことが無い・・・」
セリナ:「エリス、良い点に気付きましたね・・・。
私も、この本を見つけた後・・・、この神殿の書庫の本を調べましたが、
この宝石が記された他の本は見つかりませんでした・・・」
アレン:「まさか、これは・・・、サファイア・・・」
エリス:「サファイア?」
アレン:「あぁ・・・。古代から賢者の石、天の知識を授ける石とも信じられた宝石だ。
中世ヨーロッパでは、王や聖職者が指輪に使い、神の加護によって、悪から守るとも言われてた・・・」
エリス:「何だか分からないけど、強い力を秘めた宝石なのは伝わったわ」
カイ:「俺達の住む、この世界に無い宝石・・・。幾ら、強い力を持っていても、手に入らなければ、お手上げじゃないか・・・」
ダリウス:「・・・」
アレン:「いいや、手に入れる方法はあると思う」
カイ:「何だと? どうやってだ!」
アレン:「俺が元の世界に戻れたら・・・見つかる気がする」
カイ:「元の世界にだと?
・・・だったら、俺達はお前が、手に入れて帰ってくるまで、待つしか無いのかよ・・・」
エリス:「そうなるわね・・・」
カイ:「チッ・・・」
ダリウス:「でもさ、元の世界に戻る方法はどうするの? 見つかった?」
アレン:「それは・・・」
セリナ:「方法はあります・・・。アレン、こちらへ・・・」
アレン:「あぁ・・・」
間
セリナ:「さぁ・・・、私の手を、握ってください」
アレン:「こうか・・・」
セリナ:「貴方に、世界の運命を託します・・・。・・・さぁ、この泉に飛び込むのです」
アレン:「え?」
セリナ:「水は神聖な物・・・。
貴方が真に進む意志を持つなら、この泉の水は、あなたを受け入れ、力を貸すでしょう」
アレン:「進む意思・・・。分かったよ・・・!
お願いだ・・・。俺を仲間達の住む元の世界に・・・。えいっ・・・!!」
セリナ:「検討を御祈りします・・・」
長い間
氷室:「・・・・ぶふぁあああ!!! ・・・ん? 此処は、俺の部屋・・・。
そうか・・・、元の世界に戻って来れたのか・・・。ん・・・? 陽真から着信か・・・」
(氷室のスマホに着信が鳴る)
氷室:「・・・もしもし、どうした?」
天瀬:「どうしたじゃないよ! ・・・迅、遅刻なの分かってる?」
氷室:「遅刻・・・? 今日、何か予定、あったか?」
天瀬:「はぁ~、駄目だこりゃあ・・・」
水城:「ちょっとスマホ、変わって」
天瀬:「詩織・・・」
氷室:「ん?」
水城:「(息を吸い込む)・・・この寝坊助!!!!!」
氷室:「うわっ!!!!」
水城:「ようやく目が覚めたか」
氷室:「電話越しに、いきなり大声、出すなよ!!」
水城:「寝坊するあんたが悪い!! ・・・忘れたとは言わせないんだから」
氷室:「何がだ?」
水城:「今日は、アニメ研究会で考えた映画を撮影しに行く日よ!!!」
氷室:「だから、大声を出すな・・・。・・・待ち合わせ場所は何処だ?」
水城:「そんな事まで忘れたの!? はぁ~・・・、場所は、いつもの研究会の部屋よ。
分かった? 早く来て。じゃあね!!」
氷室:「・・・。
・・・映画の撮影・・・。そういえば、文化祭の為に、
皆で合宿して、撮る約束をしてたな・・・。
早く向かう準備しないと・・・」
間
黒宮:「あっ・・・、迅さん」
氷室:「はぁ、はぁ・・・、斗真・・・。遅刻して済まなかった・・・」
黒宮:「此処まで、走って来たんですか?」
氷室:「あぁ~・・・、待たせて悪いと思ってな・・・。喉、カラカラだよ~・・・」
黒宮:「そうですか、ちょっと、そこで待っててください」
氷室:「斗真?」
間
水城:「あ、斗真、お帰り。・・・迅は来た?」
黒宮:「はい・・・。迅さん、来ました」
水城:「そう・・・。部屋に入ってきたら、遅刻した理由を問い詰めてやるんだから!!」
黒宮:「詩織さん・・・」
水城:「何?」
黒宮:「その・・・、ごめんなさい・・・!!」
水城:「え!? ちょっと、何処に行くの!! ねぇ!!」
(部屋を出て行く黒宮)
天瀬:「・・・斗真、慌てて、どうしたんだ?」
水城:「さぁね。訳が分からない・・・」
月森:「詩織ちゃん・・・、どうする・・・?」
水城:「二人が戻ったら、理由を訊きましょう・・・。・・・全くもう・・・」
間
黒宮:「お待たせしました・・・」
氷室:「お帰り。・・・詩織は怒ってたか?」
黒宮:「今は、近寄らない方が良いと思います。・・・迅さん、一緒にカフェテラスに行きませんか?」
氷室:「良いけど・・・」
間
黒宮:「この時間は空いてますね・・・」
氷室:「午前中だからな~」
黒宮:「迅さん、何、飲みますか?」
氷室:「あ、・・・自分の分は、自分で買う」
黒宮:「遠慮しないでください。・・・アイスコーヒーで良いですか?」
氷室:「あぁ」
黒宮:「分かりました。買ってきますね」
間
氷室:(M)「そういえば・・・、黒宮と二人で、話すのは初めてかもしなれない・・・。
一体、何を話せば・・・」
黒宮:「お待たせしました。・・・アイスコーヒーです、どうぞ」
氷室:「ありが・・・とう・・・」
黒宮:「すみません・・・、いきなりお誘いして・・・」
氷室:「構わないけど、何か俺に相談でも?」
黒宮:「あ、いや・・・、相談とまではいかないのですが・・・」
氷室:「はっきり言ってくれないと、幾ら俺でも分からない・・・」
黒宮:「迅さんは、並行世界は、本当に存在してると思いますか!?」
氷室:「並行世界・・・?」
黒宮:「あ、いきなり大声出して、すみません・・・。
・・・この前のラーメン屋の、迅さん達の会話・・・、
本当は・・・、僕も一緒に参加したかったんです・・・」
氷室:「お前は・・・、並行世界を信じているのか?」
黒宮:「・・・信じています。
・・・僕が、このアニメ研究会に入ったのも、・・・僕と同じ考えの人に出会えるかも知れない・・・。
そんな願望も・・・、ありました・・・」
氷室:「斗真・・・。・・・お前も、変な夢を見たりするか?」
黒宮:「変な夢ですか? ・・・詩織さんの言ってた通り・・・、何処か懐かしいと感じる夢は見ます・・・。
そこに居る僕は・・・、現実の僕と違って・・・、自身に満ちていて・・・、仲間と言い争ったりしてました・・・。
・・・僕が望んでも、出来ない事を当たり前に行っていて、羨ましかった・・・」
氷室:「斗真・・・」
黒宮:「あ、すみません・・・。・・・こんな感じですが・・・、
僕の夢も、皆さんと一緒ですかね・・・?」
氷室:「あぁ・・・。心配するな。・・・同じだよ」
黒宮:「迅さん・・・」
間
水城:「・・・二人共、遅い・・・。まだ帰って来ないじゃない・・・!」
天瀬:「斗真の慌てぶりからして、何かあったのかもな~」
水城:「何かって何よ?」
天瀬:「さぁな~」
水城:「はいはい、適当な発言、ありがとう・・・。はぁ~・・・」
月森:「詩織ちゃん、怒ってばかりでは、美人が台無しだよ。はい、ジュースでも飲んで」
水城:「・・・我が心のオアシスよ。碧は~・・・」
月森:「陽真君も、ジュース、飲む?」
天瀬:「ありがとう、貰うよ~」
間
黒宮:「もう、こんな時間だ・・・。・・・迅さん、そろそろ皆の元へ、行きましょうか」
氷室:「一つ、聞いても良いか?」
黒宮:「何ですか?」
氷室:「あの空が変だと気付いた時・・・、・・・俺が意識を失う前だったか・・・。
斗真・・・、何か、俺に言いかけてたよな・・・?」
黒宮:「え? 僕がですか?
・・・すみません・・・、覚えてません・・・」
氷室:「そうか、それなら良いんだ。・・・急ごう」
黒宮:「はい」
間
水城:「さてと、二人共、理由を聞こうじゃない」
黒宮:「あの・・・、迅さんは、悪くないです。・・・僕が相談に乗ってもらいたくて、カフェに誘いました」
水城:「相談? ・・・そうなの? 迅」
氷室:「あぁ、そうだ」
水城:「まぁ、相談なら仕方ないか・・・。・・・でも、次からは、伝えてから行ってよね・・・」
黒宮:「ごめんなさい・・・!」
水城:「それじゃあ、全員、揃ったし、出発するわよ」
間
氷室:(N)「アニメ研究会を後にした俺達は、詩織の用意した車に乗り込んだ。
途中、スーパーで買い出しをしたりして、 撮影現場に到着した頃には、日が暮れ始めていた」
間
水城:「ここが叔父さんの別荘よ~。どう? ちょっと古いけど、撮影には雰囲気あるでしょ!」
氷室:「確かに・・・、森の奥に佇む館って感じだな。ホラーシーンにも使えそうだ」
月森:「ふふふ・・・、山奥の別荘に集まった男女・・・。
そこに少しずつ忍び寄る、血に飢えた殺人鬼・・・!!!」
氷室:「碧・・・、楽しそうだな~」
月森:「うん!」
水城:「碧の妄想も、絶好調ね~。・・・皆、よ~く聞いて。
此処は私の叔父さんの別荘よ。
叔父さんに、綺麗に使用する条件で借りれたのだから、汚したりしないように!」
水城以外、全員:「は~い!」
天瀬:「詩織~、買って来た食料、何処に入れたら良い?」
水城:「あ~、奥に冷蔵庫があるから、そこにお願い」
天瀬:「おおっ! 中も広いじゃん! 俺のアクションシーンも、此処でならバッチリ撮れるな!」
月森:「ふふっ、陽真くん、もう撮影のことばっかり考えてるんだね」
天瀬:「当然だろう」
黒宮:「それはそうと・・・、日がだいぶ暮れてきましたね・・・。僕・・・、お腹も空きました・・・」
氷室:「・・・撮影はどうする?」
水城:「そうね~、昼のシーンは、明日に回せば良いから、
まずは、夕食を作って食べましょう」
氷室:「そうだな」
間
水城:「合宿の定番と言えば、やはりカレーよね~」
氷室:「カレーなら材料も揃ってるから、作業を分担しよう」
水城:「良いわね。・・・じゃあ私、野菜を切る担当やるね。こう見えて、お料理は得意なんだから!」
氷室:「間違えて、全部、みじん切りにするなよ~」
水城:「しないわよ!! バカ!!」
天瀬:「じゃあ俺は肉を炒める係で! 撮影ばっかり考えてたけど、こういうのも燃えるな~!」
月森:「私は・・・、サラダでも作ろうかな・・・。
・・・包丁はちょっと怖いけど・・・、頑張るから、手伝えること、あるといいな~」
水城:「碧~、私がちゃんと教えるから、安心してね」
月森:「ありがとう、詩織ちゃん!」
黒宮:「それじゃあ僕はご飯を炊きますね。・・・水加減は、任せてください」
氷室:「じゃあ俺は、全体の段取りを見て、味の仕上げを担当するよ。・・・監督の仕事は、まとめだからな」
天瀬:「おっ、さすがリーダー! じゃあみんな、気合入れて最高のカレー作ろうぜ!」
月森:「ふふっ・・・、美味しくできると良いな~」
間
水城:「・・・よ~し、完成ね~。・・・迅、味見、宜しく」
氷室:「任せろ・・・。・・・」
水城:「・・・どう?」
氷室:「・・・味も、完璧だ。・・・皆~、アニメ研究会、特製カレーの完成だ・・・、食べよう~!」
水城:「そうね、・・・皆、ご飯をよそって。
・・・スプーンとフォークも、行き渡ったわね~。それじゃあ、いただきます!」
水城以外:「いただきま~す!」
水城:「皆で作ったカレーよ、いっぱい食べてね!」
氷室:「いただきます。・・・うん、すごく美味しいな。やっぱり一緒に作ると違うな」
天瀬:「おおっ、物凄く上手い! どうだ? 俺が炒めた肉、最高だろ?」
月森:「本当だ・・・、とろとろで美味しいよ~」
黒宮:「・・・僕の炊いたご飯と、カレーの相性も絶妙ですね・・・」
水城:「ふふっ、斗真ったら、本当に丁寧なんだから。でも、そう言ってもらえると嬉しい」
氷室:「こうして皆と食べてるとさ、なんだか合宿って感じがするな。撮影もいいけど、こんな時間も悪くないな」
月森:「うん・・・こうやって、皆で笑いながら食べてるとね、ずっとこのままが良くなっちゃう・・・」
天瀬:「何か碧の言葉、ちょっとしんみりくるな。・・・でもまあ、確かにそうだな。」
黒宮:「ええ・・・。掛け替えのない一時は、案外、こうした時間の中にあるのかもしれませんね」
間
天瀬:「ふぅ~・・・、もう、食べれない・・・」
水城:「2杯も、お代わりしたら、そうなるわよね~。・・・ほらっ、食べ終わった食器を運んで」
天瀬:「無理~。今は動けない~」
水城:「しょうがないわね・・・」
黒宮:「あ、それなら、僕・・・、手伝います」
水城:「ありがとう、助かる~」
氷室:「碧・・・、カレー、美味しかったな」
月森:「うん! ・・・あのね・・・、迅君・・・」
氷室:「どうした?」
月森:「少し、外の空気、吸いに行かない・・・?」
氷室:「良いけど・・・」
間
月森:「・・・風が気持ちいいね~。・・・星空も綺麗~・・・」
氷室:「そうだな~」
月森:「私ね・・・、迅君達と一緒に、アニメ研究会に入って良かった・・・。今、凄く楽しいよ~」
氷室:「あぁ、俺も、楽しいよ」
月森:「ねぇ、迅君・・・」
氷室:「何だ?」
月森:「迅君はさ・・・、私の事・・・、どう思ってる・・・?」
氷室:「え? いきなりどうした・・・!?」
月森:「いきなりじゃないよ・・・。・・・ずっと気になってた・・・」
氷室:「・・・」
月森:「黙ってちゃ分からないよ・・・。ちゃんと答えて欲しいな・・・」
氷室:「・・・俺は、碧の事・・・、好きだと思う・・・」
月森:「本当っ?」
氷室:「でも・・・、これが恋心か・・・、友達としてかは・・・、まだ分からない・・・」
月森:「そっか・・・。・・・迅君らしいね。
・・・でも、素直な気持ちが聞けて、嬉しかったよ・・・。ありがとうね・・・」(迅の頬にキス)
氷室:「碧っ!?」
月森:「ふふふ・・・。・・・これが今の私の精一杯の気持ち・・・」
氷室:「そうか・・・」
月森:「あっ・・・、見てええええ! ・・・流れ星!!
早く願い事、しなくちゃ・・・!!」
氷室:(N)「・・・流れ星を見つけて無邪気に喜ぶ碧が、可愛く思えた時だった。
碧が、咄嗟に取り出したネックレスに俺は目が行った・・・」
氷室:「碧っ・・・!!」
月森:「どうしたの? 迅君・・・?」
氷室:「その・・・、ネックレス・・・」
月森:「これはね・・・、ひいおばあちゃんが、私にくれた大事なネックレスだよ」
氷室:「そうか。・・・その宝石は・・・、もしかして、サファイアか?」
月森:「うん、そうだよ。・・・綺麗でしょう?」
氷室:「見ても良いか?」
月森:「良いけど・・・、落としたりしないでね」
氷室:「あぁ・・・」
氷室:(N)「碧から、サファイアのネックレスを受けとった瞬間・・・、俺は眩しい光に包まれた・・・」
氷室:「うわあああああ・・・!!! 何だ、この光は!!!!」
月森:「迅君・・・!!!」
氷室:「何だったんだ・・・、今のは・・・。
もしかして、碧のネックレスが、探していたサファイアなのか・・・。なぁ、碧・・・」
月森:「何? 迅君・・・」
氷室:「何も、言わず、そのネックレス、貸してくれないか・・・?」
月森:「・・・」
氷室:「この通りだ。頼む・・・」
月森:「・・・迅君の頼みなら、断れないよ・・・。でも、これだけは、約束して・・・。
・・・全て終わったら、理由を教えてね・・・・」
氷室:「あぁ・・・、約束する。・・・じゃあ、行ってくる・・・」
月森:「行ってらっしゃい・・・。迅君・・・」
(光に包まれて、碧の前から消える氷室)
間
水城:「碧~、・・・迅、見なかった~?」
月森:「迅君はね・・・、大事な使命を果たしに行ったよ・・・」
水城:「え? どういう事?」
月森:(M):「迅君・・・、私、待ってるからね・・・」
間
(オルタネア)
エリス:「・・・。・・・駄目。・・・手がかりは見つからない・・・」
カイ:「これだけ、神殿の書庫を探したんだ・・・。やはり、このオルタネアには無い宝石なんだろう・・・」
ダリウス:「俺・・・、もう本は読みたくな~い」
セリナ:「皆さん・・・、少し休憩しましょう。・・・今、お茶の用意を・・・」
アレン:「ぶふぁあああ・・・!!! ・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・」 (泉から現れる)
エリス:「・・・アレン・・・、戻って来たのね!」
アレン:「・・・此処は、神殿・・・。そうか、オルタネアに戻って来たのか・・・」
セリナ:「よくぞ、戻られました。・・・宝石は、見つかりましたか・・・?」
アレン:「・・・あぁ。・・・ちゃんと、此処にある・・・」
ダリウス:「・・・これが、サファイアか・・・。綺麗だな・・・」
セリナ:「・・・宝石は、手に入ったようですね。・・・私は引き続き、書物を調べて、
世界を崩壊から救う方法を探します・・・。
皆さんは・・・、今日の所は、休んでください・・・」
ダリウス:「じゃあ、お先に~」
カイ:「待て! ダリウス・・・!! ・・・全く・・・。では、俺も失礼する・・・」
セリナ:「アレンとエリスも、戻って休んでください」
エリス:「ええ、そうさせて貰うわね。アレン、行きましょう」
アレン:「あぁ・・・」
間
エリス:「今夜は、夜空の星が綺麗ね~」
アレン:「・・・そうだな」
エリス:「こんなに綺麗なのに・・・、崩壊の日は、刻一刻と近付いてる・・・。
なのに・・・、私に出来るのは・・・、セリナの手伝いをするだけなんてね・・・。
もっと・・・、役に立ちたいのに・・・」
アレン:「エリスは、エリスなりに考えて、頑張ってるじゃないか」
エリス:「私にも、セリナみたいな知識と力があれば・・・、みんなを助けられるのに・・・。
不甲斐ないよね、私・・・」
アレン:「そんなこと、絶対にない!(真剣な眼差しで)
この世界に来て、困惑してた時も、俺が怪我をした時も・・・、お前が、俺を助けてくれた・・・。
エリスは、今のエリスのままで良いんだ」
エリス「・・・アレン。・・・ありがとう。やっぱり、貴方がいると、・・・心が軽くなる」
アレン:「エリス・・・」
エリス:「心では分かってるの・・・。貴方は・・・、私達の知ってるアレンじゃない・・・。
世界を救ったら・・・、貴方は元の世界に戻ってしまう・・・。
頭では分かってるのに・・・!!」
アレン:「・・・」
エリス:「私・・・、貴方と離れるのが・・・、嫌・・・!!
願いが叶うなら・・・、このオルタネアで・・・、ずっと一緒に居たいの・・・」
アレン:「そんなに俺の事・・・」
エリス:「ええ、そうよ・・・! 好き・・・! 言葉にならないくらい・・・、貴方が大好き・・・!!」
アレン:「嬉しいよ・・・、そんなに俺の事を好きでいてくれて・・・」
エリス:「アレン・・・」
アレン:「・・・でも・・・、今は・・・、これが精いっぱいだ・・・」(そっとエリスの肩に手を添え、おでこにキスをする)
エリス:「ええ・・・、それで十分よ。
例え限られた時間でも・・・、貴方が、こうして側に、いてくれるなら・・・」
(目を閉じ、涙を浮かべながら小さく微笑む)
(静寂の中、二人だけの温かな空気が流れる)
(その様子を、一部始終、見ていたダリウス)
ダリウス:「チッ・・・。・・・俺だって・・・」
カイ:「ダリウス・・・、こんな所で何をしている?」
ダリウス:「何でもねぇよ・・・」
カイ:「・・・」
間
エリス:「もう、寝なくちゃね・・・」
アレン:「そうだな・・・」
エリス:「・・・アレン」
アレン:「何だ?」
エリス:「・・・ありがとう・・・。じゃあ、おやすみ」
アレン:「あぁ・・・、おやすみ・・・」
間
(地球 森の奥の水城の叔父さんの別荘)
天瀬:「たくっ・・・、迅は何処に行ったんだ・・・」
月森:「迅君は心配しなくても、大丈夫だよ」
天瀬:「どうして?」
月森:「う~ん、何となく~かな~」
天瀬:「何だよ、それ~」
水城:「私は、碧を信じる・・・」
天瀬:「そうだな~。このまま待ってても、夜が明けちゃうし、寝ようぜ~」
水城:「そうね、そうしましょう。じゃあ、皆、明日ね~」
間
(皆が寝静まった夜、黒宮は、魘されていた)
黒宮:「う・・・、う~ん・・・。・・・」
ダリウス:「よう・・・、やっと話せるな~」
黒宮:「僕と同じ顔・・・? 君は誰なの・・・?」
ダリウス:「簡単にいえば、並行世界のお前だよ~」
黒宮:「並行世界の僕・・・?」
ダリウス:「そうだ、お前の事は~、夢の中で知っていたよ~。・・・お前の隠してる気持ちもな・・・」
黒宮:「え!? ・・・」
ダリウス:「俺に隠し事は無駄だよ・・・。こうして会話が出来るのも、俺とお前の願いが一致したからだからな~」
黒宮:「・・・」
ダリウス:「さぁ・・・、俺と一緒に来い・・・。・・・お前の願いを叶えてやる」
黒宮:「うん・・・」
(ダリウスに手を引かれ消える黒宮)
間
(翌朝、黒宮も消えて騒然とするメンバー)
水城:「おはよう・・・。皆、早いわね~。・・・ん? どうかしたの?」
天瀬:「・・・斗真が居なくなった・・・」
水城:「え・・・? どうして・・・?」
天瀬:「分からない・・・。書置きも何も無いし、消えたとしか・・・」
水城:「そんな・・・」
月森:「運命の選択が・・・、迫ってる・・・」
水城:「碧・・・?」
月森:「・・・」
天瀬:「・・・詩織、空を見て見ろ・・・」
水城:「え? ・・・何よ、あの空・・・。凄く、嫌な色をしてる・・・。一体、何が起きてるの・・・」
間
(オルタネア 神殿、アストラル・サンクタム)
セリナ:「ん? ・・・こんな夜更けに誰です・・・?」
ダリウス:「驚かせて、ごめんよ~」
セリナ:「ダリウス・・・。・・・部屋に戻ったのでは無いのですか?」
ダリウス:「セリナ、一人では、大変だと思ってさ」
セリナ:「そうですか・・・。・・・それでは、そちらの書物を調べるのを・・・、お願い出来ますか・・・?」
ダリウス:「分かった、俺に任せてよ。・・・所で、アレンが持ってきた宝石は、何処に保管してるんだ?」
セリナ:「・・・それなら、私が肌に離さず、持っています。・・・どうしてです・・・」
ダリウス:「ふんっ!!」(セリナに手刀を食らわす)
セリナ:「うっ・・・、・・・ダリウス・・・、貴方・・・」
ダリウス:「へへっ・・・、探す手間が省けたよ・・・。これが、その宝石か・・・。
じゃあ、これは貰ってくよ。・・・そこで、大人しく寝てるんだな~」
セリナ:「待ちな・・・さい・・・。宝石を・・・、返しな・・・さい・・・」 (気絶する)
間
アレン:「おい・・・、セリナ・・・!! 俺の声が聞こえるか?」
セリナ:「うう・・・、アレン・・・」
アレン:「何があった?」
セリナ:「すみません・・・、ダリウスに・・・、宝石を・・・、奪われました・・・」
アレン:「ダリウスだと? 何故だ!?」
セリナ:「それは・・・、分かりません・・・。急いで、追ってください・・・。
ダリウスは・・・、神殿の最上階に・・・、向かいました・・・」
アレン:「最上階・・・」
カイ:「おい、アレン!! 此処は、俺とエリスに任せろ!!」
アレン:「カイ・・・」
エリス:「早く行って・・・!! ・・・お願い・・・、何だか嫌な予感がする・・・。
ダリウスを止めて・・・!!」
アレン:「分かった・・・!!」
間
(神殿の最上階)
(空には稲光が現れ・・・、地響きも始まっている)
黒宮:「・・・もうすぐ、僕の願いは・・・、叶う・・・。
ええ、分かってます・・・ダリウス。・・・此処からは、僕が・・・、やり遂げますよ・・・」
アレン:「はぁ、はぁ、はぁ!!! ・・・ダリウス、追いついたぞ!!」
黒宮:「・・・来ましたか・・・。アレン・・・。いや・・・、迅さん・・・」
アレン:「お前・・・!? まさか・・・、斗真なのか!?」
黒宮:「迅さん・・・。僕も、貴方と同じ世界に来たんです。
これで、僕も・・・、やり直すことが出来る・・・。
・・・このサファイアさえ無ければ・・・、全ての世界は崩壊し消滅します・・・」
アレン:「やり直すとは、どういう意味だ?」
黒宮:「そんな事、決まってるじゃないですか。・・・全ての世界を崩壊させて、最初から始めるんです・・・」
アレン:「何だと?」
黒宮:「僕は・・・、この世界が、ずっと嫌でした・・・。
・・・何をしても、主人公にはなれなかった・・・。
僕だって・・・、この世に生まれたんだから・・・、脇役じゃなくて、主人公になりたかった・・・!
・・・でも、どんなに頑張っても、僕は・・・、主人公を引き立てる役でしかない・・・」
アレン:「斗真・・・」
黒宮:「そんな時、思ったんです・・・。どんなに頑張っても、主人公になれないのなら・・・、
こんな世界・・・、壊れてしまえば良いと・・・。
だってそうでしょう? ・・・こんな理不尽な人生・・・、酷いですから・・・」
アレン:「お前の我儘で、全員、消滅しても良いと言うのか?」
黒宮:「皆、道連れです・・・。安心してください。死は、誰にも平等ですよ」
カイ:「はぁ、はぁ、追いついた・・・」
アレン:「カイ・・・、セリナは大丈夫か・・・?」
カイ:「あぁ、エリスが介抱してる」
黒宮:「あの女性・・・、始末しとけば良かったですね・・・。
あ、でも・・・、皆、滅ぶんだし、どっちも同じですか・・・」
カイ:「何が始末だ・・・。ふざけるな・・・。お前の我儘で、大事な人達を滅ぼされて、堪るか!!」
黒宮:「黙れ・・・!!」
カイ:「ぐわあああああっ!!!」 (神殿の扉まで吹っ飛ばされる)
アレン:「カイっ!!!」
黒宮:「僕の邪魔をするからです・・・。・・・迅さん・・・、空を見てください・・・。
地球とオルタネアは・・・、今、正に重なろうとしている・・・。
・・・もうすぐです・・・。もうすぐ何もかも無くなる・・・」
アレン:「よせっ!! 地球とオルタネアには、沢山の人々が暮らしてるんだ!!」
黒宮:「言ったでしょう!! 全員、道連れです!!
誰にも、僕を止められはしない!
世界は滅ぶべきなんだ・・・。・・・さぁ、サファイアよ・・・。
僕の願いを訊くんだ!! ・・・僕は、全ての世界を・・・、崩壊させ・・・、消滅させ」
セリナ:「そうは・・・、させません!!」
黒宮:「くっ・・・!! な、何だ、この光の輪は!?」
アレン:「セリナ・・・!!」
エリス:「アレン、待たせたわね!!」
アレン:「エリス・・・!! ・・・カイを頼む!!」
エリス:「分かったわ!!」
黒宮:「何だよ・・・、これは・・・、動けない・・・!!」
セリナ:「さぁ、早く!! 私の力も・・・、長くは持ちません!!」
黒宮:「くそっ・・・、離せ・・・!!」
セリナ:「主よ、天の御使いよ・・・、どうか、この者の愚かな行為を鎮めたまえ・・・!!」
黒宮:「止めろおおおお・・・!!」
間
エリス:「カイ!!!」
カイ:「っ!! ・・・エリス・・・、すまない・・・」
エリス:「良いから、怪我を見せて・・・。っ・・・酷い傷・・・」
カイ:「これくらい大丈夫だ・・・。それより、ダリウスは・・・?」
エリス:「セリナが、祈りの力で抑えてくれてる・・・」
カイ:「そうか・・・。俺も戻らなければ・・・!!」
エリス:「その傷では、無茶よ・・・!!」
カイ:「くそっ・・・、・・・うっ、神殿の揺れが、より一層、激しくなった・・・」
(神殿の揺れは一層、激しくなる)
(光の輪の拘束が黒宮を締め付け、セリナは必死に祈りを続けている)
セリナ:「はぁ、はぁ・・・、神よ・・・どうか、この者の邪悪な心を・・・、清めたま・・・え・・・」
(額から汗が流れ、声が震える。祈りの光が弱まり始める)
黒宮:「・・・ふっ、そろそろ限界か。お前の信仰心も、その程度だということだ・・・!」
(バキィンッと光の鎖が砕け、黒宮が解き放たれる)
セリナ:「くっ・・・!! ・・・きゃあああああ!!」 (衝撃で倒れる)
アレン:「セリナっ!? もう祈るな、無理だ!!」
セリナ:「ごめんなさい・・・、私は此処までのようです・・・!」
(膝をつき、崩れ落ちるセリナ)
(黒宮は自由を得て、サファイアを高く掲げる)
黒宮:「さあ・・・サファイアよ! 全ての世界を崩壊させ、消滅させろ・・・!!
(サファイアの青い輝きは光が弱まり闇に浸食される)
(神殿やその周りも震えだし、空に巨大な裂け目が走る)
アレン:「やめろおおおおおおっ!!」
(必死に駆け寄るが、衝撃に吹き飛ばされる)
(世界全体が軋む音。崩壊の始まりを告げるように、空から光の雨が降り注ぐ)
間
(光があふれ、世界が崩壊を始める)
(サファイアを掲げた黒宮の姿は不気味に笑い続けてる。吹き飛ばされた仲間達は必死に立ち上がる)
黒宮:「あっはははははは・・・! この光景を・・・、待ち望んでた。何て鮮やかで、美しいんだ・・・!」
アレン「斗真っ! 本当に・・・それでいいのか!? お前が壊そうとしてるのは、この世界だけじゃない!
俺たちの絆まで・・・全部だ!」
黒宮「・・・絆? そんなもの・・・全部、偽物だ! ・・・僕も、ダリウスも、ずっと、誰にも認められなかった。
誰も、僕達の本当の心は見てくれなかった・・・!」
カイ:「くっ・・・(血を流しながら立ち上がる)
嘘をつくな! ダリウス・・・!
お前がいたから俺達は強くなれたんだ!
お前を仲間であり、ライバルだと思ってたから・・・剣を振る意味を見つけられたんだ!」
セリナ:「うっ・・・ううう・・・。(弱々しく声を振り絞る)
貴方は・・・、闇に飲まれる人じゃない・・・。
私が祈りで縛ったのは、貴方を闇の心から救いたいからです・・・!」
エリス:「ダリウス・・・! 貴方はいつも優しかった! いつでも笑ってくれたじゃない!
あの気持ちまで・・・なかったことにするの!?」
(黒宮の腕が震える。サファイアから放たれる黒い光が揺らぎ始める)
黒宮:「止めろ・・・! ・・・そんな言葉で・・・僕達は・・・、騙されなんか・・!」
(心を覆っていた闇の亀裂が広がり、彼の目に葛藤の色が浮かぶ)
アレン:「斗真・・・!! 俺は、お前を信じてる!
例え裏切られても・・・、仲間だった時間は、消さない! お前は、何があろうと、俺達の大切な仲間だ!!」
黒宮:「っ・・・!! ・・・大切な仲間・・・? ・・・僕は・・・、僕は・・・!!」
(黒宮の目から涙が一筋こぼれる)
黒宮:「・・・迅さん・・・。・・・僕は・・・! う・・・、うわあああああああ・・・!!」
セリナ:「これは!? ・・・宝石の力が暴走を始めました・・・!!
このままでは、全ての世界は崩壊し、消滅します・・・!!」
アレン:「何だと・・・!?」
(黒宮の腕の中でサファイアが黒い光を放ち、空が裂け、大地が崩れ落ちていく)
黒宮:「迅さん・・・、宝石から手が離せません・・・! 痛いっ・・・、お願い・・・、助けて・・・!!」
カイ:「でえええい!! ・・・くそっ・・・!! 剣でも破壊するのは無理なのか・・・!!」
セリナ「駄目です・・・、私の祈りでも・・・、もう抑えられません・・・」
アレン「・・・皆、どうした!? 最後まで諦めるな!! ・・・俺は、こんな終わり方、絶対に認めない!!」
(だが地響きと共に神殿が揺れ、仲間たちは絶望の色を浮かべる)
カイ:「・・・あの空の色を見ろ・・・、もう、世界の終わりが近いんだ・・・」
セリナ:「・・・私に、もっと祈りの力があれば・・・!」
アレン:「皆・・・」
エリス:「私は嫌よ・・・、絶対に諦めない・・・!!
だって・・・守りたい!! この世界も・・・、仲間も・・・、アレンも、アレンの住む世界も!!!
全ての世界を救いたいの!!!」
(その瞬間、エリスの胸元の光が爆ぜるように広がり、蒼いオーラがサファイアに呼応する)
セリナ:「眩しい・・・。・・・この力は・・・。エリスの力なの・・・!?」
黒宮:「温かい光・・・。・・・僕の中の闇が・・・、消えていく・・・」
(エリスの声が神殿いっぱいに響く)
エリス:「サファイアの宝石よ・・・、お願い! 私に力を貸して! 全ての世界を・・・、どうか、救って・・・!!」
(サファイアが共鳴し、黒い光を押し返しながら蒼き輝きに変わる。暴走していたエネルギーが制御され、崩壊の波が静まり始める)
(轟音を立てて裂けていた空が、蒼い波紋に覆われていき、やがて穏やかな青空へと戻る)
間
カイ:「崩壊が止まって、青空が戻った・・・。・・・俺達、助かったのか・・・」 (剣を杖にして立ち上がり、空を見上げる)
セリナ:「はい・・・、世界は・・・、救われました・・・!!」
アレン:「エリス・・・、お前が、救ってくれたんだな」
エリス:「・・・私だけの力じゃない。
・・・皆が、世界を救いたいと願ったから・・・、サファイアの宝石が応えてくれたの・・・」
(黒宮がうつむいたまま、拳を震わせている。その姿を見て、アレンがゆっくり歩み寄る)
黒宮:「・・・」
アレン:「・・・斗真」
黒宮:「・・・迅さん・・・。・・・僕、・・・とんでもない事を・・・」
アレン:「もう、良いんだ・・・。・・・帰ろう。・・・俺達の世界へ」
黒宮:「・・・迅さん・・・。・・・ごめん・・・なさい・・・」
間
セリナ:「・・・アレン・・・。いいえ・・・、氷室 迅・・・。
貴方の選択が・・・、世界を救いました・・・。・・・この世界を代表して、礼を言います・・・。ありがとう・・・」
氷室:「いや・・・、俺は・・・、何も・・・!!」
エリス:「何を照れてるのよ!! ・・・貴方が居たから、私達、頑張れたのよ・・・。
・・・ありがとう・・・、アレン・・・。・・・ううん・・・、ジン・・・」
氷室:「エリス・・・」
カイ:「ジン! ・・・これでお別れだが、元の世界に戻っても元気でな!
・・・良いか? 日々の鍛錬は忘れるんじゃないぞ!!」
氷室:「あぁ・・・、向こうでも、素振りは続けるよ!」
カイ:「その意気だ!!」
セリナ:「別れの挨拶は済んだようですね・・・。・・・間もなく2つの世界は・・・、再び並行線に戻ります・・・。
・・・貴方と、黒宮さんは・・・、元の世界に戻るでしょう・・・。どうか・・・、お元気で・・・」
氷室:「皆、元気でな!! ・・・じゃあ、戻ろうか・・・」
黒宮:「はい・・・」
(氷室と黒宮は、光に包まれる)
エリス:「ジ~ン!!!」
氷室:「エリス・・・!!」
エリス:「私・・・!! 絶対に、貴方の事・・・、忘れたりしない!! 元気でね・・・!!」
氷室:「あぁ、さようなら~・・・!!」
(辺りに、光に包まれ、光が納まる頃には、アレンとダリウスが倒れてる)
間
エリス:「・・・さようなら。・・・ジン・・・」(涙を我慢しながら)
セリナ:「エリス・・・」
アレン:「う・・・、・・・此処は・・・?
・・・カイ、エリス・・・。・・・セリナまで・・・、何故、神殿に集まってる・・・?」
エリス:「・・・アレン。お帰りなさい・・・」
アレン:「エリス・・・? 泣いていたのか・・・?」
エリス:「泣いてないわよ・・・!」
アレン:「そうか・・・。・・・何だか・・・、長い夢を見ていた気がする・・・」
カイ:「アレン! 寝ぼけてる時間は無いぞ! ・・・学園に戻ったら、剣の稽古だ!!」
アレン:「カイ・・・。そうだな、望む所だ!」
ダリウス:「う・・・、・・・皆・・・、ごめんね・・・」
アレン:「ダリウス・・・? どうして謝ってる?」
カイ:「理由は後で話してやる。・・・ダリウス!! お前も、戻ったら、剣の稽古だからな!!」
ダリウス:「う・・・、うん・・・!!」
セリナ:「さぁ・・・、戻りましょう」
エリス:「ええ・・・!!」
間
(地球 水城の叔父さんの別荘)
(氷室と黒宮は、気付くと、別荘の外に立っていた)
氷室:「・・・戻って来たな、俺達の世界に・・・」
黒宮:「そうですね・・・」
月森:「・・・迅君・・・」
氷室:「・・・碧・・・」
黒宮:「・・・僕、先に別荘の中に戻りますね・・・」
氷室:「あぁ、ありがとう・・・」
間
月森:「・・・お帰りなさい」
氷室:「ただいま・・・」
月森:「・・・」
氷室:「・・・」
月森:「その・・・、迅君・・・」
氷室:「ずっと、外で待っていたのか・・・?」
月森:「うん・・・、いつ、迅君達が戻ってくるか分からないから・・・」
氷室:「馬鹿!!」
月森:「迅君・・・!?」
氷室:「こんなに体を冷やして・・・。風邪でも引いたら、どうする・・・」
月森:「平気だよ・・・。私・・・、そんなに弱くなんか・・・」
氷室:「良いから、これでも羽織っておけ」(自分のジャケットを羽織らせる)
月森:「迅君・・・。・・・温かい・・・」
氷室:「・・・それと・・・、これ・・・、返す・・・」(サファイアのネックレスを返す)
月森:「・・・全て、終わったんだね」
氷室:「あぁ・・・、もう何も心配しなくて良い・・・」
月森:「そっか・・・、良かった・・・」
水城:「じーーーーーんーーーー!!!」
氷室:「詩織!?」
水城:「もう、何処に行ってたのよ~!! 心配したんだから!!」
氷室:「あっははは・・・、悪い・・・」
水城:「笑いながら、謝るな!! ちゃんと謝れ~!!」
天瀬:「迅! 詩織に、ちゃんと謝れよ。・・・心配して、徹夜で待ってたんだからな~」
水城:「ああああああ!!! 陽真~!!! それは内緒に!!」
氷室:「・・・詩織・・・。・・・心配かけて、ごめんな・・・」
水城:「もう良いわよ・・・」
黒宮:「・・・皆さん・・・、心配かけてしまい、すみませんでした・・・」
水城:「斗真も、分かったから。・・・さぁ、皆、・・・昼ご飯を食べたら、撮影、始めるわよ~」
氷室:「その事についてだが、俺から一つ、提案がある」
水城:「何よ?」
氷室:「俺は、映画の主人公を降りる!」
水城:「え? じゃあ、誰が主人公を、演じるのよ」
氷室:「それは・・・、・・・斗真・・・、お前に主人公は任す。・・・引き受けてくれるよな?」
黒宮:「え・・・!? ・・・僕・・・、僕は・・・」
水城:「斗真が主人公? ・・・出来なくは無いだろうけど・・・」
氷室:「いいや、斗真が適任だ!! ・・・斗真・・・。お前なら出来る・・・」
黒宮:「・・・迅さん。・・・僕・・・、・・・主人公をやりたいです・・・!!」
水城:「分かった、・・・じゃあ、斗真、主人公、宜しくね」
黒宮:「はいっ!!」
月森:「えへへ、・・・斗真君、やる気で満ち溢れてるね~」
氷室:「そうだな」
黒宮:「迅さん・・・、僕、精一杯、頑張ります!!」
氷室:「あぁ、頼んだ!」
間
氷室:(N)「それから、俺達は、昼ご飯を食べて、撮影の会議を行った・・・。
俺は・・・、並行世界に行ってた事とか、全て話した・・・。
詩織と陽真は、半信半疑だったけど・・・、碧は、頷きながら聞いてくれた。
俺は、皆にある提案をして、脚本を書き変えた・・・。
そして・・・、撮影が始まり・・・」
水城:「・・・う~ん、当初の恋愛映画よりも、随分、思い切ったわね~」
氷室:「これじゃあ、駄目かな・・・?」
水城:「いいえ、良いんじゃない。・・・ねっ、皆!!」
天瀬:「おう! ・・・アクションシーンだけじゃなくて、斗真との、ライバル関係なのも気に入ったよ!」
黒宮:「陽真さん、宜しくお願いします・・・!」
月森:「問題ないよ~。私も、ヒロイン、頑張る~!」
氷室:「皆・・・、ありがとう・・・。・・・じゃあ、始めよう!!」
水城:「オッケー!! じゃあ、Fracture Limit(フラクチャー・リミット)、
・・・シーン1、・・・用意・・・、スタート!!!」
終わり