
あの日、僕らは恋に堕ちた
作者:片摩 廣
登場人物
夢森 七実(ゆめもり ななみ)・・・21歳、大学生
高坂 美佐希(こうさか みさき)・・・21歳、大学生
日谷 真帆(ひたに まほ)・・・21歳、大学生
奥園 康史(おくぞの やすひと)・・・21歳、大学生
吉川 有樹(よしかわ ゆうき)・・・21歳、大学生
今石 陽介(いまいし ようすけ)・・・21歳、大学生
比率:【3:3】
上演時間:【60分】
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CAST
夢森 七実:
高坂 美佐希:
日谷 真帆:
奥園 康史:
吉川 有樹:
今石 陽介:
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(寝言を言う夢森)
夢森:「う~ん・・・、そんなに多い量・・・、流石の私でも食べられないよ~・・・」 (寝言を言う夢森)
間
(夢の中の今石と夢森)
今石:「・・・夢森・・・、いや・・・、七実・・・。・・・俺・・・、お前の事が・・・」
夢森:「う、うん・・・」
今石:「ずっと前から・・・」
夢森:「ねぇ・・・、今石・・・、顔近いよ・・・。・・・そんな駄目だって・・・。
今石・・・。
・・・って・・・、うわあああああああああああ!!!!」
日谷:「ようやくお目覚めね・・・、七実・・・。いつもの目覚まし、ありがとう・・・」
夢森:「あ、痛たたたたたた・・・。・・・エヘヘ・・・。真帆ちゃん、おはよう~・・・」
日谷:「何が、エヘヘ・・・、おはよう~・・・よ。・・・あんたと一緒の部屋になって、1年が経つけど・・・、
まさか、毎日・・・、ベッドから落ちる音を聞く羽目になるとは思わなかったわよ・・・」
夢森:「え~、私・・・、毎日・・・、落ちてるかな~・・・? それは、真帆ちゃんの勘違いじゃ~・・・」
日谷:「一体、どの口が、そんなふざけた事、言ってるんだ~! この口か!!! この! この~!」
夢森:「いふぁい! いふぁい! まふぉちゃん、くちが、さけちゃう~」
日谷:「少しは、反省しろ~!!!」
高坂:「朝から、相変わらず、騒々しいんだから・・・」
夢森:「みふぁきちゃ~ん、たふけて~」
高坂:「さっぱりしたばかりで、汗かくのは嫌なの。・・・自力で、どうにかするのね~。
さっ、肌が乾燥しないうちに、スキンケアーしなきゃ・・・」
夢森:「ふぉんな~・・・」
日谷:「何、美佐希~。また朝風呂に入って来たの~? 毎日、毎日、綺麗好きよね~」
高坂:「貴方達と違って、育ちが良いですから、当然よ」
日谷:「はいはい、そうですか~」
高坂:「これでよしっと。
・・・もう、いつまで、遊んでるのよ~。早く、食堂に行かないと、朝食、食べれないわよ」
夢森:「ちょうしょく~・・・。ぜったいに~、食べた~い!!!!」
日谷:「あっ、七実・・・! いつの間に、抜け出したのよ! 私、まだ許しては・・・」
夢森:「二人共~、おっさき~!」
日谷:「おい、こら、待て~! 七実~!!!」
高坂:「ちょっと、部屋のドアくらい閉めて出てってくれない?
・・・廊下を走るなんて、エレガントの欠片も無いんだから・・・。はぁ~・・・」
間
(寮の食堂入口、沢山の生徒達が朝食を選ぶために集まっている)
夢森:「えへへ・・・。間に合った~。朝食、朝食~」
日谷:「はぁ、はぁ~・・・。追いついた~・・・。もう、朝から、走らせないでよ~・・・。
はぁ~・・・。七実が早く起きないから、こんなに、並んでるじゃない・・・」
夢森:「文句は後あと・・・。さっ、並ぼう~!」
日谷:「ちょっと、押さないでよ・・・」
夢森:「う~ん・・・。今日は、どの朝食セットにしようかな~。・・・8種類の野菜サンドイッチも良いな~。
あ~、でも、ふわふわパンケーキとラズベリースムージーのセットも美味しそう~。
もう~、悩んじゃう~!」
日谷:「食欲の権化め・・・」
高坂:「すみませ~~~ん。私は、このBLTサンドと、グリーンスムージーのセットを」
日谷:「あ、じゃあ私は、鮭の西京焼きセットを」
高坂:「相変わらず、チョイスが、和風ね・・・」
日谷:「良いでしょう! 日本人に生まれたんだから、お米、大好きでも」
夢森:「二人の選んだセットも、美味しそう・・・。・・・う~ん、どうしよう・・・!!」
日谷:「いつまで悩んでるのよ・・・。私達、先に行ってるから、早くしなさいよ~」
夢森:「ええええええ~、二人共、待ってよ~・・・!!」
間
(広い食堂の中は、学生達の声で、賑やかになっている)
日谷:「さてと~、今日は、何処の席にしようか・・・。・・・うわぁ~・・・、今日は混んでるわね~」
高坂:「当然よ。皆、学祭の出し物の準備で、大忙しなんだし。
朝食、早く食べて、大学に向かいたいのよ」
日谷:「うううう・・・。七実が早く起きていれば、こんな事には・・・」
奥園:「お~い! 真帆~! こっち、こっち~!」
日谷:「あれは、康史。・・・良かった~、席は何とかなりそうね。行こう、美佐希」
高坂:「ええ。・・・他に空いてる席が無いから、仕方ないわね・・・」
間
奥園:「おはよう、お二人さん。・・・相も変わらず、朝から賑やかだよな~」
日谷:「朝から、うるさい。康史。・・・あれが、好きで騒いでるように見える?」
吉川:「そうだよ、康史。・・・女の子が賑やかなのは、微笑ましくて、良いじゃな~い」
奥園:「出たな、この天然たらし。・・・おい、陽介も何とか言えよ」
今石:「七実は、まだ悩んでるのか?」
高坂:「いつも通りの光景と言えば、お終いだけど・・・、まだ悩んでるわね~」
奥園:「食堂のメニューの豊富さは分かるが・・・、毎日、飽きないのが不思議だな」
高坂:「この寮の、数少ない要素の一つなんだから、多めに見てあげて。
あ・・・、噂をしたら・・・」
夢森:「ごめ~ん、皆~! 選ぶのに、戸惑っちゃった~!」
日谷:「七実・・・、遅い・・・。もう、お腹が減って、康史を殴る所だったよ!」
奥園:「何で、俺なんだよ!? 暴力、反対!!」
高坂:「あっははははは。・・・それで、どのセットにしたのよ」
夢森:「それはね~、じゃ~~~ん!!」
日谷:「何よ、散々、悩んだ挙句・・・、結局、最初のサンドイッチにしたのね・・・」
夢森:「だって~、美味しそうだったから~! つい! ・・・あ・・・」
今石:「七実、どうした?」
(ふと、夢森の頭に、ある映像が浮かぶ)
日谷:「ねぇ、皆、聞いて・・・! ・・・これが最後のサンドイッチよ・・・。・・・少しずつ、分け合いましょう・・・」
間
夢森:「・・・」
今石:「おい、大丈夫か? 七実・・・。・・・七実!!!」
夢森:「・・・あれ? 今・・・、私・・・、一体・・・」
今石:「何があった・・・?」
夢森:「ねぇ、真帆・・・」
日谷:「何、どうしたのよ?」
夢森:「私達・・・、サンドイッチを、皆で分けて食べた事・・・、あった・・・?」
日谷:「サンドイッチを皆で分け合う? ・・・う~ん、記憶に無いけど・・・。いきなり、どんな質問よ~・・・」
夢森:「そっか・・・。あははは・・・可笑しいな。
私、まだ寝ぼけてるのかな~・・・」
日谷:「もう、しっかりしてよ。・・・さぁ、皆、早く食べて、大学に行きましょう。
学祭の出し物、考えなくちゃ・・・」
夢森:「そうだね・・・。早く食べちゃおう・・・」
間
(朝食を食べて支度を終えた一同は、歩いて、寮から少し離れた大学に向かう)
吉川:「良いね、良いね~。女子、3人が、笑いながら、前を歩いてる姿~」
奥園:「朝から、元気だね~。有樹は・・・」
吉川:「嘘!? この光景、見て何も感じないの!? ・・・これこそ、青春!
大人になる前の、ごく僅かな時間に許された日々!!
いや~、素晴らしい光景じゃないか~!
ねぇ、そう思わない・・・って、あれ!? 」
奥園:「俺達、先、行ってるからな~」
吉川:「待ってくれ、二人共~~~!!!」
間
奥園:「はぁ~、朝から、疲れる~・・・」
今石:「お前達と知り合って、一年が経過するけど、俺は、この光景、飽きてないよ」
奥園:「そうか、そうか。・・・俺は、既に一年で、嫌になってるよ・・・」
日谷:「お~い、そこの~、や・ゆ・よ、トリオ~!
歩くスピード、遅い~! もっと、早く歩いて来て~!!」
奥園:「誰が、や・ゆ・よ、トリオだ!! その言い方、止めてくれ~!!」
日谷:「ふふふ、絶対に、嫌よ~!!」
奥園:「この野郎・・・」
吉川:「まぁ、良いじゃない。俺は、この呼び方、気に入ってるよ」
奥園:「何処がだよ~。分かるように、説明してくれ・・・」
吉川:「仕方ないな~。・・・説明しよう!
奥園 康史(おくぞの やすひと)、この俺、吉川 有樹(よしかわ ゆうき)。
そして最後に、今石 陽介(いまいし ようすけ)
以上、我等、3人! や・ゆ・よ、トリオ! ・・・此処に参上! ってな!!」
奥園:「はいはい、説明、御苦労、御苦労~」
吉川:「うわ~。全然、心が籠ってない・・・。もっと康史の優しさが欲しい~」
奥園:「お前に、優しさなんか与えたら、始末に負えないから却下!」
吉川:「康史のけちん坊~!」
今石:「あははは、二人共、見てて、本当に飽きないな」
間
日谷:「何、朝から、大声で、じゃれ合ってるんだか~・・・。あ~、嫌だ、一緒のグループだと思われたくな~い」
高坂:「あの三人、まだまだ子供よね~。・・・陽介は、まだ、その中でも、大人だけど・・・」
日谷:「何? あんた・・・、さては、陽介のこと~?」
高坂:「え!? 勘違いしないで! あの、や・ゆ・よ、トリオの中ではよ!
私、まだ諦めてないんだから! この大学生活の中で、素敵な彼氏、ゲットしてやるんだから~!!!」
日谷:「お~、お~、育ちが良いわりに、男の事になると、見境なくなるんだから、
あんたの唯一の欠点って、好い加減、自覚しなさいよ~」
高坂:「うるさいわね! 放っておいてよ! ふんっ!!」
日谷:「それに、比べて、七実は・・・」
夢森:「今日のお昼は、何を食べようかな~。・・・大学の食堂のカレーも、素朴な味わいで美味しいし~。
あ、でもでも~、併設されてるカフェの新メニューも気になる~」
日谷:「はぁ~・・・。・・・一体、その体型の何処に、そんなに食べれる容量があるのよ~」
夢森:「ん? 何か言った~?」
日谷:「ううん、何も言ってな~い」
夢森:「そっか~。・・・あ、そうだ! 惣菜クレープと~、苺と生クリームが沢山の王道クレープも、捨てがたいな~!」
日谷:「う・・・。クレープ・・・は、ちょっと・・・私も食べたいかも・・・」
高坂:「うふふ・・・、仕方ないわね。・・・今日のお昼は、カフェに行きましょう~」
日谷:「やった~! 高坂~、愛してる~!」
高坂:「ちょっと、何、抱きついてるのよ! 良いから、早く離れなさ~~~い!!」
間
(大学の授業が始まるチャイムの音が鳴る)
奥園:「え~、そういう訳で、今年の学祭の出し物なんだが・・・、何にするか、今から話し合おうと思う。
皆、アイデアを出してくれ」
日谷:「そうね~。この芸術大学、何気に、生徒の人数が多いマンモス大学だから、他の科とは、被りたくは無いわね」
今石:「無難に、焼きそばの屋台とか」
奥園:「それじゃあ、デザイン科の意味が無いだろ。それに、焼きそばの屋台は、去年も多数、出店してるのを確認したし」
吉川:「ふふふ・・・、仕方ないな~! 此処は俺が一肌脱ごうじゃないか・・・。
俺の恰好良さを前面に出した~、プロジェクションマッピングをだな~!!!」
奥園:「却下」
日谷:「却下よ」
今石:「却下かな」
高坂:「勿論、却下」
夢森:「う~ん、却下で!」
吉川:「皆の総却下が、心に刺さる~! う~ん、気持ち良い~!!」
奥園:「ドMの有樹は、置いといて・・・、他のアイデア、求む~」
夢森:「あのう~」
奥園:「お? 七実、何か良いアイデア、浮かんだのか?」
夢森:「うん・・・。・・・あのね、皆、こんなのは、どうかな~。
・・・さっきの、有樹君のプロジェクションマッピング、全部、却下じゃないの・・・。
学祭は、夜遅くまでだから、建物に、私達の考えた映像を写して、
その場所で、クレープ屋を出すの・・・!」
日谷:「良いわね! お客さんの注目も集められる!」
高坂:「学祭は、午前中から始まるのよ。・・・日中は、どうやって、クレープ屋を盛り上げるつもりかしら?」
夢森:「それは・・・、その・・・」
今石:「昼間は、皆のデザインを発表するのと、クレープを包む包装紙も、
一つ、一つ、違うデザインを考え、提供する」
奥園:「なるほど、良いアイデアかもしれないな。
・・・ただな~、学祭は、一般人も、入場出来るようになるから、相当な数のデザインが必要になる・・・」
日谷:「何、日和ってるのよ。私達は、デザイン科よ!
自分達が作成したデザインを知って貰えるチャンスなのよ! 逃す手は無いでしょう!」
高坂:「そうね~、私だったら、お店のロゴを考えて、デザインは・・・、エレガントで映えるのを考えるわね~」
夢森:「エレガントだけじゃ、一部のお客様しか買ってくれないよ~。
やっぱり、可愛くて、キラキラしたデザインも必要だと思う~!」
今石:「あまり、可愛くし過ぎても、それを持ち歩きながら、食べると考えたら、男には、キツイな~」
奥園:「あ、その点は、俺も、同じ意見。・・・男性が持ってても、違和感が無くて、良いデザイン・・・」
吉川:「俺は、そんなの気にしないよ。・・・女の子達にモテるなら、可愛いデザインも、幾らでも~」
奥園:「お前の意見は、参考にならない」
吉川:「そんな~、冷たすぎる~!!」
今石:「有樹の意見は、特殊な例だと、俺も思うから、男性のお客向けにも、デザインは、考えた方が良いね」
奥園:「良いね、賛成」
吉川:「陽介まで、酷い扱い!!!」
夢森:「私は、有樹君の、人と少しズレた感性、嫌いじゃないよ~」
吉川:「七実ちゃ~ん、好き~!!!!」
夢森:「え? 有樹君・・・、近いよ~・・・」
今石:「おい、こら、七実に近付くな!! 離れろ!! 簀巻きにして、窓の外から吊るすぞ!!」
日谷:「へぇ~・・・」
奥園:「結局、また、こうなるのか~・・・。はぁ~・・・」
間
夢森:(N)「それから私達は、学祭の準備に、奮闘した・・・。
こうして、皆で夜遅くまで、協力している姿を見ていると・・・、
入学した頃が懐かしく思えた・・・・」
(1年前、大学、入学式)
夢森:「今日から、此処が私の居場所になるんだ・・・。
・・・しっかりしなくちゃ・・・。よ~し! 頑張るぞ~~~!!!」 (両手を上げて叫んでる)
日谷:「ねぇ・・・、そんな所で叫んで何してるの・・・?」
夢森:「え!? あ・・・、いや・・・、その~・・・。エヘヘ・・・」
日谷:「まぁ、良いわ。・・・私、デザイン科に入学したのだけど・・・、貴方は?」
夢森:「私も・・・、デザイン科に・・・」
日谷:「何だ、一緒じゃない。今日から、宜しくね。
・・・私は、日谷 真帆。そうね~・・・、同じ科なんだし、気軽に真帆って呼んで」
夢森:「うん。私は・・・、夢森 七実!! 宜しくね!!」
日谷:「ねぇ、緊張しすぎよ。何も、そんなに大声で自己紹介しなくても・・・。
・・・とにかく、七実ね~。覚えたわ」
吉川:「君達~、こんな所で、何をしてるんだ~い」
日谷:「誰よ、あんた・・・」
吉川:「俺としたことが、失礼。・・・可愛い女の子が二人も居たからさ~、ときめいちゃったんだ~」
夢森:「可愛い女の子・・・」
日谷:「あんたね・・・。初めて会ったばかりで、その態度・・・」
吉川:「もう、怒ったら駄目だよ~。折角の可愛い顔が台無しだし・・・」
日谷:「ちょっと近付いて来ないで・・・」
吉川:「良いじゃないか~」
高坂:「貴方、道の真ん中で邪魔よ。早くどいて頂戴・・・」(吉川を平手打ち)
吉川:「あ~ん・・・!」
高坂:「ふん! 見っともない声・・・」
日谷:「ありがとう・・・。助けてくれて・・・」
高坂:「へぇ~、貴方達も、デザイン科・・・。・・・この学校、評判が良いから選んだのに~・・・。
こんなエレガントに欠ける人達と一緒なんて・・・、選択、ミスったかしら・・・」
日谷:「今のは、聞き捨てならない・・・。私達を、そこの男と同類に考えないで!!」
夢森:「真帆ちゃん・・・、落ち着いて・・・」
奥園:「何だ、お前達・・・、入学早々・・・、喧嘩してるのか?」
日谷:「はぁ~・・・、次から次と・・・。部外者は黙っていて!!」
奥園:「部外者とはなんだ! 俺は、奥園 康史! 今日から、同じくデザイン科に入ったんだ!!」
日谷:「何だ、同じじゃない。宜しく」
奥園:「何だ、その態度は!? ちゃんと謝れよ!!」
日谷:「悪かったって」
高坂:「付き合ってられないわね。・・・お先に」
日谷:「何、先に行こうとしてるのよ! あんた、待ちなさいよ~」
吉川:「女の子からの本気のビンタ・・・。癖になりそうだ・・・。
・・・ねぇ、置いてかないでくれよ~!!!」
夢森:「あははは・・・。皆、元気一杯だな~・・・」
今石:「本当・・・、個性的なメンバーが揃ったもんだ・・・」
夢森:「え? あのう・・・、貴方は?」
今石:「あ~、俺は、今石 陽介。・・・俺も今日から、このデザイン科に入学したんだ。宜しく」
夢森:「宜しくお願いします。・・・私は・・・」
今石:「夢森 七実さんだよね? さっき、大声で自己紹介してたから、覚えたよ」
夢森:「見てたんですか!?」
今石:「まぁ、見えたが正解かな。とにかく、今日から、同じデザイン科なんだ。仲良くしよう」
夢森:「そうですね。・・・じゃあ、私達も、教室に行きましょうか」
今石:「そうだな。そうしよう~」
(過去終了)
間
夢森:「エヘヘ・・・」
日谷:「どうしたのよ、七実。もしかして、思い出し笑い?」
夢森:「うん、ちょっと昔の事をね~」
日谷:「ふ~ん・・・。・・・それにしても、流石にお腹が空いたわね~」
奥園:「もう、19時過ぎか~・・・。・・・そろそろ、切り上げるか?」
日谷:「賛成~。・・・ふぅ、疲れた~・・・。
・・・あ・・・、ねぇ・・・、この香り・・・」
夢森:「キンモクセイの香りだ~・・・。良い匂い~」
奥園:「何か不思議だよな~。
去年の学祭も、同じように大学構内に咲いてたのに、匂いなんて気にする余裕がなかった・・・」
高坂:「あの時の私達は、初めての学祭の準備と先輩達に気を使ったりで、疲弊してたからじゃない?
そんな私達も、2年生になって・・・、少しは余裕が出て来たのよ」
日谷:「美佐希の言う通りかもね。・・・去年の今頃よりも、準備は苦に感じないもん・・・」
夢森:「私も、皆と一緒に、準備が出来て楽しいよ。それにね・・・」
日谷:「どうせ、この後、皆で、何処に何を食べに行こうかな~って、考えてたんでしょう?」
夢森:「真帆ちゃん、正解~!」
日谷:「七実ったら、もう・・・。・・・所で、有樹は何処? さっきから、姿を見かけないけど・・・」
奥園:「そういえば、そうだな・・・。あいつ・・・、何処に行ったんだ・・・」
吉川:「皆~、俺の事、探してたのかい?」
奥園:「おい、いつの間に、居なくなってたんだよ。・・・そろそろ、切り上げようかと話をしてたんだ」
吉川:「ちょうど良かった。じゃあ、皆、早く帰る準備して~」
日谷:「待ってよ。流石にお腹空いてるから、何処かで食べようって話になってたんだから・・・」
吉川:「心配は無用だよ。これを見てくれ~」
日谷:「え、これって・・・」
高坂:「先日、駅前のモールにオープンした店のHPね・・・」
吉川:「その通り! 俺達、運が良いよね~。そこのオープン記念の、特別なビュッフェが当たったんだ~」
夢森:「特別なビュッフェ~・・・」
吉川:「あぁ、全50種類、時間無制限、食べ放題だよ!」
夢森:「うわ~! パラダイスだよ~~~!」
日谷:「ねぇ、そのビュッフェ、無料なの?」
吉川:「あ~、流石に、無料じゃないけど・・・、特別価格、何と1500円!」
日谷:「1500円・・・。う~ん、確かに、安いけど~・・・・」
夢森:「はいはい! 私、食べに行きた~い!!」
高坂:「そうね・・・。これから店、探してとかの苦労を考えると・・・。
私も、食べに行くのに賛成かしら」
日谷:「美佐希まで・・・。・・・ねぇ、康史は、どうする?」
奥園:「折角の機会なんだ。食べに行ってみるのも良いかもな」
日谷:「分かった。・・・食べに行きましょう・・・」
夢森:「やった~!!! こうして居られない。・・・使った道具、片付けてくるね~!!」
日谷:「全く、嬉しそうにはしゃぐんだから~・・・。
・・・暫く、食べる量・・・、減らさなくちゃ・・・。はぁ~・・・」
間
夢森:(N)「皆で、一緒に行ったビュッフェは、どれも美味しくて、夢のような食事だった・・・。
こうやって、皆で食べに行くのは・・・、やっぱり、楽しい・・・。
楽しいけど・・・、何だろう・・・。初めての気がしなかった・・・」
日谷:「はぁ~・・・、ビュッフェの魅力に負けた~・・・」
奥園:「何、落ち込んでんだよ。良いじゃないか~、少しくらい食べ過ぎても」
日谷:「あんたね~! ダイエットに悩む繊細な気持ち、少しは汲み取りなさいよ!」
奥園:「そんな気にする必要ないだろう~。少しくらい太ったって、俺は気にしないよ~」
日谷:「さっきから、言わせておけば~!!!」
夢森:「ねぇ、皆!!!」
高坂:「・・・七実・・・、いきなり大声、出さないでよ・・・」
夢森:「ごめんね・・・、美佐希ちゃん・・・」
日谷:「今度は、どうしたの・・・?」
夢森:「私達・・・、前にも、こうして皆で、ビュッフェ・・・、食べに行った気がするの・・・」
高坂:「それは・・・」
夢森:「この前のサンドイッチの時もそうだよ・・・。
何か、こう・・・、頭の中に知らない映像が流れ込んできて・・・、私ね・・・!!」
今石:「七実・・・、落ち着け。・・・まずは、ゆっくり深呼吸を・・・」
夢森:「私は、冷静だよ!! ・・・皆は、何か可笑しいと思った事ないの?」
奥園:「別に、可笑しいと思った事は・・・、何もないけど・・・」
夢森:「嘘よ。・・・少し、間があった・・・。やっぱり、皆も、可笑しいと思ってるんだよね!?」
奥園:「えっと、それはだな・・・!!」
吉川:「まぁ、まぁ・・・。二人共、落ち着いてよ~。
いわゆるデジャブじゃないかな~。ほら、夢の中で観た場所と、現実で観た場所が、重なって~、
あれ~? 何か来た事あるかもってなる感覚・・・。それだと思うよ~」
奥園:「そう、それだよ! 七実、だから、この話は、もうお終い! なっ」
夢森:「絶対に嫌・・・。・・・このままじゃ・・・、気持ち悪いよ・・・。お願い、何か知ってるなら、隠さず、教えて・・・」
高坂:「七実・・・。・・・実は、私達ね・・・」
日谷:「美佐希・・・。良い・・・。私から話す・・・」
高坂:「そう・・・。わかった・・・」
日谷:「ねぇ、七実・・・。・・・本当の事、知りたい・・・?」
夢森:「うん・・・、知りたい・・・」
日谷:「・・・あ~あ・・・、このキャンパスライフも、皆でさ、笑い合って、毎日、楽しかったんだけどな~・・・。
それも・・・、これで御終いか・・・」
夢森:「え? どういう意味・・・?」
日谷:「皆と・・・、もっと・・・、楽しみたかったな~・・・」
奥園:「学祭・・・、七実が提案したプロジェクションマッピングとクレープ屋・・・、今回も、やりたかったよな~」
高坂:「もう、忘れたの? 最初に、プロジェクションマッピングのアイデア、出したのは、私だったでしょう?」
奥園:「そういえば、そうだったか・・・。
今回で・・・、10回目の学祭だから・・・、流石に覚えてなかった・・・」
夢森:「え? 10回目・・・? 何を言ってるの? 私達、2年生なんだよ・・・」
吉川:「七実は・・・、本当に何も覚えてないんだね~。それは、ある意味・・・、幸せなんだろうな~」
日谷:「幸せかは、あんたが決める事じゃないでしょう・・・。
ごめんね・・・、七実・・・。・・・何の話か、理解出来てないよね・・・?」
夢森:「・・・うん。・・・皆の言ってる事が・・・、分からないよ・・・」
日谷:「う~ん・・・、何処から話せば良いだろう・・・。
私達・・・、学祭は・・・、無事に終わらせたんだけど・・・、それも、覚えてない・・・?」
夢森:「学祭が・・・、終わった・・・?」
日谷:「ええ、そうよ。・・・その後・・・、
皆と相談して、打ち上げも兼ねて、海外に旅行に行く事にしたの・・・」
夢森:「旅行・・・。・・・あれ? 可笑しいな・・・。私、震えてる・・・?
・・・何で・・・?
急に不安な気持ちが溢れて来た・・・。何か、凄く怖い・・・。
・・・ねぇ・・・、この気持ちは・・・、何なの・・・!?」
日谷:「無理もないよ。・・・それは、心と体が覚えてるんだと思う・・・」
夢森:「え・・・?」
日谷:「・・・私達を乗せた飛行機は、途中まで、順調だった・・・。
海外旅行に浮かれて、はしゃいでた私達は・・・、その後に起こる悲劇なんて、気付くはずもなかったの・・・」
夢森:「悲劇・・・? ねぇ、真帆ちゃん・・・、何が起きたの・・・?」
日谷:「私達の乗ってた飛行機は・・・、・・・突然、飛来して来た隕石に・・・、衝突した・・・!!」
夢森:「・・・隕石に・・・、衝突・・・。・・・。・・・そうだ・・・、私達は・・・、突然の出来事に・・・。
あ・・・、ああああああ・・・・。・・・あああああああああああ!!!!」
(夢森に、記憶がフラッシュバックする)
(飛行機の中)
奥園:「お・・・、そのお菓子、も~らい」
日谷:「何するのよ! 人の取る前に、自分の分、食べなさいよ~」
奥園:「沢山、あるんだから、良いだろう~」
日谷:「あ、それは、駄目!」
高坂:「二人共・・・、飛行機の中なんだから、静かにして」
日谷:「私は悪くないでしょう? 悪いのは、康史なんだから!」
吉川:「良いね、良いね~・・・。日本人の女の子も可愛いけど・・・、外国の女の子も・・・、良い~・・・!!」
今石:「お前は、ぶれないよな・・・」
吉川:「当然だよ。外国に行くんだし、異国交流も、楽しまなくちゃ~」
夢森:「あ・・・、真帆ちゃん・・・。・・・私も、そのお菓子・・・、貰っていい?」
日谷:「勿論よ。七実には、分けてあげる」
夢森:「エヘヘ・・・、やった・・・」
奥園:「あ、ズリい~。・・・それじゃあ、男女差別じゃないか~」
日谷:「勘違いしないで。う~ん、そうね~・・・。強いて言うなら、康史差別って所かしら~」
奥園:「笑顔で、何て事を言うんだよ!」
吉川:「ん? ・・・ねぇ、見て・・・。あれは、何だろう?」
今石:「どうした? 有樹・・・? ・・・あれは・・・、まさか・・・!」
吉川:「こっちに、近付いて来てるよ・・・」
今石:「おい、皆!!!」
日谷:「もう、騒がないでよ! 私達だけ乗ってるんじゃ・・・」
今石:「うるさい! 良いから、何かに掴まれ!! 衝撃に備えるんだ!!!」
日谷:「何かに、掴まれって何よ・・・。もう少し、詳しく・・・」
(飛行機の翼に、飛来した隕石が当たり、大きな衝撃が走る)
日谷:「きゃあああああああああ!!!」
夢森:「きゃっ・・・!!」
奥園:「うわあああああああ!! 何の衝撃だ!!!」
今石:「くそっ・・・。・・・どうすれば・・・」
吉川:「痛たたたた・・・。・・・ねぇ・・・、あれ見てよ!!」
日谷:「何よ・・・、これ・・・。・・・一体、何なのよ!!!」
今石:「物凄いスピードで、隕石が、飛行機の翼に衝突したんだ・・・!!」
日谷:「嘘!? ・・・じゃあ、この飛行機は・・・」
今石:「翼とジェットエンジンも、かなり大破して燃えてる・・・。このままだと・・・、時期に墜落する・・・」
奥園:「墜落だって!? ・・・冗談じゃないよ!! 俺達・・・、それじゃあ・・・!!」
今石:「あぁ・・・、此処で、お終いかもしれないな・・・」
奥園:「嘘だろう・・・。なぁ、嘘だって言ってくれよ!!!」
今石:「・・・」
奥園:「黙ってないで、何とかしろよ!! 陽介!!!」
日谷:「好い加減にして!!」 (康史をぶつ)
奥園:「うっ・・・、真帆・・・」
日谷:「何よ!! 男が、ぎゃあぎゃあ騒いで情けない!!
騒いで、この状況が好転するとでも、思ってるの!!!?」
奥園:「それは・・・」
日谷:「皆・・・、怖いのは一緒!!
・・・今、大事なのは・・・、冷静になって考える事・・・。そうでしょう?」
奥園:「あぁ・・・、そうだな・・・。
すまない・・・。・・・おかげで、冷静になれたよ・・・」
日谷:「良いのよ・・・。・・・まだ諦めたりするのは早い・・・。
何とかして、生き残る方法を探すのよ・・・」
高坂:「そうね・・・。・・・こんな所で、死にたくない・・・」
夢森:「私も・・・、皆とお別れなんて嫌だ・・・」
吉川:「・・・俺も、このまま死んだら、絶対に悔いが残るよ・・・」
日谷:「はいはい、そうね。・・・容易に想像が付くから、理由は聞かない・・・」
今石:「皆・・・、よく聞いてくれ・・・。とにかく、上体を低くして、頭は・・・、足と足の間に・・・。
・・・身に着けてるピアスやアクセサリーは、全部外しておくんだ・・・」
吉川:「・・・」
奥園:「・・・」
高坂:「・・・」
夢森:「・・・」
日谷:「・・・。・・・陽介・・・。・・・皆・・・、言われた通り、準備、出来たよ・・・」
今石:「分かった・・・。・・・真帆・・・。お前も、早く・・・」
日谷:「うん・・・」
(飛行機が、もの凄い勢いで落下していく)
(窓の外を見て、叫ぶ今石)
今石:「あれは・・・。・・・くそっ・・・!!」
日谷:「どうしたの!?」
今石:「最悪の状況だ・・・」
日谷:「え・・・?」
今石:「皆!! 更なる衝撃に備えろ!! 絶対に頭は守るんだ!!!」
吉川:「死にたくない、死にたくない、死にたくない・・・!!」
奥園:「神様・・・、皆を守ってくれ・・・!」
高坂:「ひいいいいいいい・・・!!」
夢森:「・・・大丈夫・・・。きっと・・・、何とかなる・・・」
日谷:「ええ、そうね・・・。私達は・・・、絶対に生き残るんだから・・・!!!」
(陸に墜落した飛行機は、爆発をする)
長い間
(海の波の音)
夢森:「・・・ん? ・・・此処は・・・」
今石:「気付いたか・・・。・・・気絶したお前を、此処まで運ぶのは、苦労したんだからな・・・」
夢森:「皆は・・・、無事・・・?」
今石:「・・・」
夢森:「ねぇ・・・、質問に答えて・・・」
今石:「・・・それが・・・」
夢森:「まさか・・・、そんな・・・!?」
日谷:「起きたのね、七実・・・。はい、これ、水・・・」
夢森:「真帆ちゃん・・・。無事だったんだ・・・。良かった・・・!!」
日谷:「少し、頭を打ったけど・・・、私は平気よ・・・。ただ・・・」
夢森:「え・・・?」
日谷:「・・・美佐希は、左腕を骨折したわ・・・。
有樹は・・・、腰を強打した衝撃で、歩けないみたいだけど・・・、詳しく分からない・・・」
夢森:「そんな・・・」
今石:「比較的に無事だったのは、俺と、康史と七実と真帆の4人だ・・・。
だが・・・、状況は、良くない・・・」
夢森:「え?」
日谷:「私達の座席は・・・、飛行機の後ろ側だったのと・・・、
墜落した場所が海岸の砂浜だったから・・・、助かったけど・・・。
前に乗ってた乗客は・・・」
夢森:「何・・・、どうしたの・・・?」
今石:「・・・墜落した衝撃と爆破で、全員・・・、亡くなったよ・・・」
夢森:「嘘・・・。・・・じゃあ、生き残ったのは・・・」
今石:「俺達と、後ろに乗ってた乗客だけだ・・・」
夢森:「そんな・・・」
今石:「・・・墜落の瞬間、運良く前側と後ろ側で、機体が二つに割れたんだ・・・。俺達は、それで助かった・・・。
だが・・・、連絡手段も何もないのと・・・、此処は、どうやら無人島のようだ・・・」
夢森:「無人島・・・。・・・じゃあ私達・・・」
日谷:「救助が来るまで・・・、何とかして、生き延びないと行けないのよ・・・」
夢森:「・・・」
奥園:「お~い!! こっちに来て、荷物を運ぶの手伝ってくれ~!!」
今石:「分かった~!! 今、そっちに行く!!
・・・すまない。康史を手伝ってくる・・・」
日谷:「食料が見つかったみたいね・・・。私も、後で行く」
今石:「いや、力仕事は、男の仕事だ。・・・真帆は、七実を診ててくれ」
日谷:「分かった、そうする」
夢森:「私の事は大丈夫だから・・・、美佐希ちゃんを・・・」
高坂:「心配してくれるのは、嬉しいけど・・・、私も大丈夫よ・・・」
夢森:「でも・・・、その腕・・・」
高坂:「これは・・・、陽介君が、飛行機の中で見つけた医療セットで処置してくれたの・・・。
手際が良かったから、驚いちゃった・・・」
夢森:「痛みはないの・・・?」
高坂:「うん・・・。鎮痛剤のおかげで、思ってたよりも平気よ・・・。
それに・・・、例え、痛かったとしても・・・、今は・・・、泣いてる場合でもないしね・・・」
夢森:「美佐希ちゃんは、強いな~・・・。・・・私は、怖くて仕方ないよ・・・」
高坂:「こんな事になったんだから、無理もないわよ・・・」
日谷:「ねぇ、美佐希。・・・有樹は、どうだった・・・?」
高坂:「さっきまで、痛いよ~。一人にしないでよ~と、騒いでたけど・・・、
陽介君が鎮痛剤を打ったから、静かになって眠ったわ・・・」
日谷:「あいつらしい・・・。でも、波の音しか聞こえなくて・・・、こんなに静かだと・・・、
あんな女たらしでも・・・、騒いで貰ってた方が・・・、少しは気もまぎれる・・・」
高坂:「そうね・・・。・・・起きたら伝えとく」
日谷:「宜しくね。・・・さてと・・・、まずは、寝床、何とかしなくちゃ・・・」
間
奥園:「陽介、そっちを持って」
今石:「此処か?」
奥園:「そうそう、そこ。・・・じゃあ、いっせーので持ち上げて運ぶぞ」
今石:「わかった、任せろ」
奥園:「それじゃあ、行くぞ! いっせーのーで!!! ふん!!!」
今石:「ふん!!!」(同時)
奥園:「よし、持ち上がった・・・!! 良いか? あそこの木陰まで運ぶからな・・・!!」
今石:「分かった・・・!!! ・・・それにしても、よく見つけたな・・・!!」
奥園:「あぁ・・・。恐らく緊急用の非常食と飲み物があると思ったんだ・・・。
中を確認したけど・・・、ビスケットやクラッカー、水も入ってたよ・・・!!」
今石:「流石だな・・・!! ・・・他に食料はあったか?」
奥園:「あるには、あったけど・・・、生き残った他の乗客で奪い合いになってた・・・。
まともに話し合える状況でも無かったから・・・、急いで持ってきたのは、持って来たけど・・・。
・・・あ・・・、そこに下そう・・・。・・・良い、ゆっくり下すよ~・・・」
今石:「分かった・・・。
・・・ふぅ・・・。・・・それで、持ってこれた他の食料は、どれだ?」
奥園:「中を開けてみて。持ってこれたのは、その袋に入れてある」
今石:「サンドイッチ・・・、10個・・・。・・・スナックやお菓子類・・・、5袋・・・。
いつ救助が来るか、分からない状況で・・・、この食料と、この緊急用の非常食で凌ぐわけか・・・」
奥園:「何とかするしか、ないだろうな・・・。
・・・明日、もう一度、探しに行ってみるけど・・・、残ってるかどうかも怪しいよ・・・」
今石:「貴重な食料だ・・・。万が一、奪われる事も・・・、考えておこう・・・」
奥園:「いざとなったら、俺達も争わなきゃいけないのか・・・?」
今石:「生き残るためだ・・・。その時は、覚悟を決めるしかない・・・」
奥園:「そうだな・・・。その時は・・・、俺も覚悟を決める・・・」
間
夢森:(N)「私達は、それぞれに不安を抱えながらも・・・、食事を済ました後・・・、
真帆ちゃんが見つけた、洞穴(ほらあな)で、眠りに付いた・・・。
遭難、2日目・・・」
日谷:「ねぇ、陽介。早くこっちに来て! ・・・有樹が目を覚ました!」
今石:「分かった! 今、行く!」
間
(洞穴の中)
吉川:「う~ん・・・、此処は、天国・・・?」
高坂:「そんな訳ないじゃない・・・。・・・何処か知らない無人島よ・・・」
吉川:「何だ・・・。夢じゃなかったんだ・・・」
今石:「有樹・・・、気分はどうだ・・・?」
吉川:「腰は少し痛いけど・・・、昨日よりは、気分も良いよ・・・」
今石:「鎮痛剤が効いてるみたいだな・・・。起き上がれるか?」
吉川:「大丈夫だと思う・・・。・・・よいしょっと・・・。
・・・ふぅ~・・・」
日谷:「はい、有樹、・・・これが、あんたの今日の食料」
吉川:「ビスケットと水・・・これだけか。
・・・俺達・・・、本当に、遭難したんだ・・・。
・・・学祭の準備した後に、食べに行ったビュッフェ・・・、また食べに行きたいな・・・」
日谷:「こんな時に、何を言ってるのよ!!
馬鹿!! ・・・私も、思い出しちゃったじゃない・・・」
吉川:「海老が沢山入ったシーフードグラタン・・・、美味しかったな~・・・」
高坂:「美味しかったけど・・・。此処には無いんだから・・・、黙って、それを食べて・・・」
今石:「・・・俺、康史と、飛行機に食料が残ってないか、探してくるよ」
日谷:「待って、それなら私も行く」
高坂:「私は・・・、この腕だし・・・」
今石:「分かってる。・・・美佐希は、有樹を、お願い出来るか?」
高坂:「ええ、任せて」
今石:「頼んだ」
奥園:「おーい、そろそろ行くけど、準備は良いか?」
今石:「あぁ、今行く」
奥園:「あれ? 七実は、何処に行った?」
今石:「お前と一緒じゃなかったのか!?」
奥園:「いいや。・・・俺は、お前達と一緒に居るとばかり・・・」
今石:「一人で、何処に行ったんだ・・・。
悪い、二人共・・・、俺は、七実を探してくる!
先に、食料を探しに行ってくれ!!」
奥園:「分かった、そうする」
(走って洞穴から、外に出て行く今石)
奥園:「・・・あいつ、七実の事になると、凄い力が出るんだな~・・・」
日谷:「もしかして・・・」
奥園:「ん? 何だよ?」
日谷:「何でもな~い。さぁ、食料を探しに行くわよ~」
奥園:「何だよ、教えてくれよ~」
間
(海岸、砂浜に居る夢森。一人で、救難のSOSを書いている)
夢森:「・・・S・・・O・・・S・・・!!
ふぅ~・・・。此処まで、大きく書いたら・・・、救助してくれる人からも見つかりやすいかな・・・」
今石:「おーい!! 七実~~~!!!」
夢森:「あれは・・・、陽介君・・・。 陽介君~!! 此処だよ~!!!」
間
今石:「はぁ、はぁ、はぁ~。一人で行動するな・・・。探したんだからな・・・」
夢森:「ごめんね・・・。皆、出来る事を頑張ってるのに・・・、私だけ役立たずだなと感じたの。
だから・・・、少しでも、皆の役に立ちたくて・・・」
今石:「SOSを砂浜に書いて居たのか・・・」
夢森:「少しは、役に立てたかな・・・?」
今石:「勿論だ。・・・一人で頑張ったな。・・・水、持って来たけど、飲むか?」
夢森:「うん、貰うね。・・・美味しい。
・・・陽介君は、凄いよね・・・。美佐希や有樹君の手当ても迅速に出来て・・・。私なんか・・・」
今石:「俺の家は、医者の家系なんだ。
小さい頃から、親の仕事を見て来たから・・・、出来るようになった。ただ、それだけだ・・・」
夢森:「人を助ける事が出来るんだから、立派だよ・・・」
今石:「世間から見たら、そうなんだろうな・・・。だが、俺は・・・、医者の家に生まれて、不自由も感じた・・・。
それに・・・、親のレールに敷かれてるのを知ってからは・・・、俺は、何度も反発した・・・。
芸術大学に入学したのも・・・、反発からの行動に過ぎない・・・」
夢森:「陽介君・・・」
今石:「医者以外になれたら、それで良い。それだけだったはずなのに・・・、
お前達と一緒に、過ごすうちに・・・、いつしか、此処が俺の居場所なんだと思えるようになった・・・」
夢森:「陽介君、最初出会った頃・・・、少し距離を感じたのは、そんな理由からだったんだね・・・。
私もね・・・。・・・今では、大事な居場所になった・・・。
だから・・・、皆で、無事に生きて帰りたい・・・」
今石:「心配するな・・・。皆で無事に、帰ろう・・・!! その為に、今出来る事をするんだ!!」
夢森:「うん・・・!!!」
間
(飛行機の墜落現場、周辺)
日谷:「う~ん・・・。食料・・・、見つからないね・・・」
奥園:「やはり、他の客員達が、持っていたか~・・・。くそっ・・・、俺が、もっと持って来ていれば・・・」
日谷:「康史は、悪くない! あれだけ持って来れただけでも、凄いよ・・・」
奥園:「・・・このまま暫く救助が来なかったら、あの量じゃ・・・。この先、不安だ・・・」
日谷:「・・・あ~あ、こんな事になるなら・・・、恋愛も、もっと楽しんでいれば良かったな~・・・」
奥園:「いきなり何を言い出すんだよ・・・。・・・恋愛より、今は食料の確保が先だろう・・・」
日谷:「この鈍感・・・」
奥園:「え?」
日谷:「私は~!! 康史の事が好きなの~!!!」(思いっきり叫ぶ)
奥園:「いきなり何、叫んでるんだよ!! 止めろよ!!」
日谷:「あ~、すっきりした~!!! ずっと、苦しかったんだ・・・。
自分の胸に留めておくの・・・。
最初に出会った頃は、頼りないな~と思ってた・・・。
でも、2年になってからのあんたは・・・、
リーダーも率先して立候補して・・・、皆を纏めるのを頑張っていた・・・。
そんな姿を見て・・・、格好良いと思った・・・」
奥園:「真帆・・・。・・・お前・・・」
日谷:「此処から、無事に脱出が出来たらさ・・・、告白の返答・・・、聞かせてよ・・・」
奥園:「・・・分かった。・・・約束する・・・」
間
(洞穴に居る高坂と吉川)
高坂:「はぁ~・・・、腕さえ怪我してなかったら、私だって手伝えるのに・・・」
吉川:「俺も・・・、腰さえ、こうじゃなかったら・・・」
高坂:「いつもの陽気な貴方は、何処に行ったのよ」
吉川:「無茶言わないでよ・・・。流石の俺も、こんな状況じゃ~・・・」
高坂:「普段の貴方は・・・、うざいくらい、空気読めなかったりするけど・・・、
こんな無人島だと・・・、元気で居てくれる方が、気がまぎれるって、真帆も言ってた・・・」
吉川:「真帆ちゃん、そんな事を言ってたんだ・・・。良いね~、惚れちゃいそう~」
高坂:「・・・私も!! 貴方が・・・、元気で居る方が・・・、張り合いがあって、良いけどね・・・」
吉川:「え? 美佐希ちゃんも、俺の事を・・・?」
高坂:「勘違いしないで!! 私は・・・、張り合いがあるからの理由で・・・、その・・・」
吉川:「あははは・・・。そういえば、最初に出会った時も、強烈なビンタからだったな~」
高坂:「あれは、勢いで、そうなっただけで・・・」
吉川:「俺さ・・・、本気で怒られた経験が無かったら・・・、驚いたけど・・・、嬉しかったよ・・・」
高坂:「有樹・・・。・・・へぇ・・・、そうだったんだ・・・」
吉川:「あ、今、俺に、少しときめいちゃった?」
高坂:「そんな訳ないでしょう!!」
吉川:「な~んだ・・・。残念・・・。はぁ~、どうせ、俺は一人ぼっちの運命なんだ~・・・」
高坂:「もう!!
仕方ないわね・・・。・・・無事に帰れたら、デートぐらい考えてあげても良いわよ・・・」
吉川:「本当に!? 絶対に約束だからね!!」
高坂:「但し、荷物持ちも兼ねてよ!! 分かった!?」
吉川:「うん!! 喜んで!!」
間
夢森:(N)「私達は、その後も、救助してくれる人を待った・・・。
日にちが過ぎる度に・・・、私達の疲弊も増していき・・・、
ついに、食料も残り僅かになった・・・」
(洞穴の中、皆が集まっている)
日谷:「ねぇ、皆、聞いて・・・! ・・・これが最後のサンドイッチよ・・・。・・・少しずつ、分け合いましょう・・・」
奥園:「・・・俺、お腹空いてないから、皆で分けて食べてくれ・・・」
日谷:「駄目よ・・・。今日も、ふらつきながら、食料、探しに行ってたの知ってるのよ・・・。
ちゃんと食べて・・・」
奥園:「見てたとはな・・・」
吉川:「救助・・・、来てくれないと・・・、デートが・・・」
日谷:「え? デート・・・?」
高坂:「うわあああ!! 何でもない!! ほら、吉川、お腹空き過ぎて・・・、可笑しくなってるのよ・・・!!」
日谷:「そうなんだ・・・」
間
夢森:(N)「それから、更に数日が経過して・・・、ついに私達は、動く気力さえ失った・・・」
今石:「・・・皆・・・、しっかりしろ・・・」
夢森:「真帆ちゃん・・・、美佐希ちゃん・・・、康史君・・・、有樹君・・・」
日谷:「七実・・・、ごめんね・・・。私が旅行、提案したばかりに・・・」
奥園:「何を言ってるんだ・・・。皆で決めた事だろう・・・。お前、一人で責任を・・・背負うなよ・・・。
俺達・・・、仲間だろう・・・」
高坂:「そうよ・・・。・・・最後まで・・・、皆、一緒よ・・・」
吉川:「あははは・・・。・・・来年も、皆で学祭・・・、楽しみたかったな・・・」
奥園:「そうだな・・・。・・・駄目だ・・・。何だか・・・、眠い・・・」
日谷:「寝たら・・・、皆で、お腹いっぱい・・・、食べられる夢・・・、見れるかな・・・」
高坂:「ええ、きっと・・・、見れるでしょうね・・・」
今石:「夢の中なら・・・、皆・・・、幸せに・・・」
夢森:「皆・・・、しっかりして・・・、ねぇ・・・、返事してよ・・・! ・・・ねぇ・・・!」
間
夢森:「そうだ・・・。・・・皆・・・、私の呼びかけにも答えなくなり・・・、私も・・・」
日谷:「どうやら・・・、全部、思い出したようね・・・」
夢森:「私達・・・、助からなかったの・・・?」
奥園:「それは分からない。
・・・でも、一つ言えることは・・・、
俺達は・・・、学祭の僅かな時間を繰り返してる・・・。
きっと、皆の願いが・・・、この奇跡を起こしたんだろう・・・」
吉川:「う~ん、俺達の乗ってた飛行機が衝突した隕石に、不思議な力があったか・・・、
不憫に思った神様が・・・、俺達の願いを叶えたのだったら・・・、エモいよね!!」
高坂:「貴方にしては、良い考えじゃない・・・。
でも・・・、そんな皆との楽しい時間も・・・、終わりみたいね・・・」
夢森:「え? どうして・・・?」
日谷:「七実・・・、足元を見て・・・」
夢森:「・・・嘘。・・・足が消えてる・・・」
奥園:「足だけじゃない・・・。・・・街の風景も・・・、俺達の大学も・・・、周り全てが消え始めている・・・」
夢森:「私・・・、嫌だよ・・・。皆とお別れなんて・・・!!」
日谷:「私も嫌だよ!! 嫌だけど・・・、どうしようもないの・・・」
高坂:「存在が無くなるのは怖いけど・・・、皆が最後まで側に居てくれる・・・」
吉川:「最後に消えるまで、俺達、一緒だよ・・・」
奥園:「そんなの、当たり前だろ・・・」
今石:「七実・・・。伝えたいことがある・・・。・・・俺・・・、お前の事が・・・」
間
夢森:「・・・陽介君!! 待って! 消えないで・・・!!
・・・。・・・此処は・・・」
夢森:(N)「私は、病院のベッドで目が覚めた・・・。救助の人は・・・、助けに来たのだ・・・。
ふとベッドの横を見ると・・・、そこには、1通の手紙が置いてあった・・・」
(手紙を読む夢森)
日谷:「七実へ・・・。
・・・もしもの為に・・・、この手紙を残します・・・。
実はね・・・、食料が残り僅かになった時から、七実の食料だけ、少し多めにしたんだ・・・。
何故かっていうと・・・、七実なら・・・、私達に起きた事も・・・、
生き残れたときには、ちゃんと伝えてくれると思ったから・・・。
ごめんね・・・。勝手な決断をして・・・。
でも・・・、これは・・・、皆と相談した結果なの・・・。だから許してね・・・」
奥園:「この手紙は、残ってたレターセットから、皆で少しずつ書いたんだ・・・。
無事に、生き残れた時は・・・、俺達の墓でも建ててくれよな・・・。頼んだ・・・」
高坂:「七実のセンス・・・、私・・・、本当は嫌いじゃなかった。いつも、張り合って、ごめんね・・・。
無事に生き残ったら・・・、良いデザイン、沢山、作ってよね・・・」
吉川:「七実ちゃんなら、有名になれると、俺は確信してるよ。・・・俺達の分まで、生きてくれよな・・・」
今石:「七実・・・。お前と出会えたから、俺は・・・。・・・何でもない・・・。俺の分まで、幸せになってくれ・・・」
日谷:「七実・・・。・・・あんたと出会えて・・・、大学生活、楽しかったよ・・・! じゃあね・・・」
間
夢森:「こんな手紙、私に黙って・・・、残してるなんて・・・、狡いよ・・・。・・・皆・・・」
長い間
日谷:「あ~・・・、また、その手紙、読んでる・・・」
夢森:「だって~、皆の気持ちが・・・、嬉しくて~・・・」
日谷:「もう~・・・。泣くか、喜ぶか、どっちかにしてよ~・・・」
奥園:「救助されるタイミングが、後少し遅かったら・・・、俺達、こうして生きて帰れなかったかもな・・・」
吉川:「そこは、やはり神様が、奇跡を起こしてくれたのかも知れないね~。
おかげで、俺は・・・、無事にデートが出来る~」
高坂:「何の事かしら~。あっ、私の検査の番だ。行かなきゃ~」
吉川:「あ、それは無いよ~!! ねぇ~、待ってよ~!!」
奥園:「あいつら、もしかして・・・」
日谷:「そうかもね・・・。・・・ねぇ・・・、あの時の返答だけど・・・」
奥園:「あ・・・、そうだったな・・・。
・・・ま~、大学生活は長いんだ・・・。・・・一緒に、良い思い出・・・、作ろうか・・・」
日谷:「康史~!!! 大好き~!!!」
奥園:「おいっ!! くっつくな!! 離れろ~!!」
夢森:「皆・・・、本当に、助かって良かった・・・」
今石:「そうだな・・・。俺も・・・、これで、お前に、ちゃんと言える・・・。
・・・七実、・・・俺・・・、お前の事が好きだ・・・」
夢森:「嬉しい・・・。私も・・・、好きだよ・・・。・・・陽介・・・くん」
今石:「七実・・・」(キスしようとする)
日谷:「へぇ~・・・」
奥園:「お前達・・・、やっぱり・・・」
吉川:「ヒュ~、やるね~」
高坂:「二人共~、此処は病院よ~」
今石:「あ・・・、いや・・・、これは・・・」
夢森:「良いじゃない!! 大好きだよ!! 陽介君~!!」(陽介に抱きつく)
今石:「・・・うん、俺も、大好き!!」
終わり